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インタビュー

【People 森谷行利】岡山を愛し、卓球を愛する「院長先生」の飽くなき探究心

 森谷が院長を務める森谷外科医院は肛門外科・大腸外科・消化器内科が専門。言わずもがな、実に繊細な器官である。ラケットを手術用のメスに持ち替えると、要求されるのは精緻な指先の感覚。それは卓球の技術にも共通するものがあると森谷は言う。

 

−森谷さんは外科医として、現在も患者さんの手術を担当していますが、非常に高い集中力が要求されると思います。

森谷:そうですね。たとえば痔(ぢ)の手術にしても、大きな体の人もいれば、痩せている人もいるし、80歳や90歳の高齢の患者さんもいる。組織の強さ、弱さには個人差があるし、弱い人の場合は非常に精緻なメス先の感覚が要求されます。そのメス先の感覚というのが、卓球の台上のストップの感覚に似ているような気がするんですよ。

卓球で培った体力で、日々精力的に診療や手術を行う(写真提供:森谷行利)

−どちらも繊細さが要求されるという点では共通していますね。

森谷:外科の手術というのは、大胆にメスを入れていく時でも、肝心要(かんじんかなめ)のところではものすごく慎重さ、繊細さが求められます。

 卓球もフットワークはダイナミックだけど、乱暴に打球していたらすぐミスしてしまうでしょう。一流選手というのは大きく激しく動きながら、ラケットさばきやボールタッチというのはすごく柔らかい。医者も卓球選手も、繊細なところがないとトップには行けない。

 また、私が担当する肛門や盲腸、ヘルニアの手術というのは、胃や大腸などの大きい手術に比べて簡単だと思われることもある。しかし深く取り組んでみると、やはり本腰を入れてやらないと満足のいく手技は身につかないですし、敷居は低そうに見えるけれど、真剣に取り組んでみると奥が深いという点では、肛門外科と卓球というスポーツには共通する部分があるかもしれません。

岡山市北区にある森谷外科医院の外観。本棟の左側の建物に、今年1月に新たな卓球場が完成した

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