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水谷隼の逆襲「誰も知らないところで挑戦して、そこを絶対乗り越えて いこうと思いました」

常に進化しなければいけない。

常に時代の最先端に

ついていかないといけない、

後れを取ったら勝てない

2014年当時の水谷

 

自分がリスクを背負うことで

さらに自分の力が

発揮できるんじゃないかと思います

 

今までどちらかと言えば、日本を離れるのを嫌っていた男が単身でロシアに向かった。行くことを決心し、ひとりで生活し、戦うことを選んだ時点で、水谷は変身し、心の持ちようが変わったと言えるだろう。「楽しい」とは言いつつも、時に襲ってくる孤独に打ち克ち、卓球に集中することが、全日本の敗戦やロンドン五輪の傷を癒す最高の薬だったのかもしれない。

●ーあまり世界ランキングは気にならない? 10月に丹羽に追い越されて、日本選手の最高位を明け渡した。11月にはまた抜き返したけど。

水谷 全然気にならないです。レーティングポイントをチェックしていて、ぼくのレーティングが元々高いので、抜かれてもまた抜き返すのはわかっていた。ただ、周りから「ランキングが落ちて抜かれたね」と言われて、それは癪に障ったけど(笑)。

 

●ーでも、これから1年くらい経つと、リオ五輪への出場枠に関係して、世界ランキングは気になるし、シングルス枠(2名)も熾烈な争いになるのはわかっている。

水谷 リオはまだそんなに意識しないけど、丹羽とか健太がぼくのところまで来るとは思っていないし、そういう心配はない。リオがやばいというのはぼくが弱くなって、ランキングも落ちている場合です。

 

●ーオリンピックでのシードを考えたら、やはりランキングを上げなくてはいけないんじゃないかな。

水谷 強い選手と上のほうで当たりたくない。オリンピックでも世界選手権でも強い選手とは早い段階で当たりたいと思う。メダルを獲らなかったら、ベスト8でもベスト16でも同じですから。

 

●ー今までは、プロのようでいて学生リーグにも出るし、学生と一緒に練習となると、プロフェッショナルな環境とは言えなかった。今はある意味完全なプロフェッショナルになっている。

水谷 そうは思ってないですね。明治大学にも支援してもらって、高山監督(幸信・前監督)にもすごくお世話になって、自分が試合に出て、恩を返すというのもプロの選手がやることではないですか。強いからと言って何でも自分の好きなようにやりたくはない。学生の試合に出たことは今の自分にプラスになっていますね。みんなで一緒に戦って、それは日本代表で戦うのとは違って、良い経験だったと思います。

 

●ー今は自分を成長させる環境なんだろうか。

水谷 今のチームは非常にいいですね。プリモラッツ(クロアチア・五輪7回出場)がチームのコーチだけど、彼もすごく熱心で練習をたくさんやれと言ってくれます。チームメイトもまじめで一生懸命練習やるし、お互いがお互いをリスペクトしているので、お互いが学び合って成長していける関係です。

 

●ー最近になって、邱建新さんとプライベートなコーチ契約を結んだね。

水谷 技術的なコーチが昔からいなかったし、高山監督にしても、倉嶋監督(全日本男子)にしても専属ではないからみんなを見なきゃいけない。ぼく自身は監督のコーチングが分散されるのは嫌なので、ぼくひとりに集中してくれるコーチが欲しかった。

今までは、海外の試合では協会からの代表派遣で、賞金は自分に入る。リスクを負うことがなかった。全部お金を出してくれるし、負けても「次、頑張れよ」と言われる程度だった。でも、邱さんと契約した時にはまだスポンサーもない時だったし、全部自腹で契約して、勝たないといけないという状況に追い込んだ。自分がリスクを背負うことで、さらに自分の力が発揮できるんじゃないかと思います。

最初はマリオ(・アミズィッチ)とコーチ契約の話をしていたんだけど、なかなか日本に来ることが難しかった。邱さんとたまたま話をしていて、ぼくが「今、コーチを探しているんだよ」「コーチをやってくださいよ」と冗談っぽく言ったら、「いいよ」となった。邱さんには青森山田の時からアドバイスをもらっていたし、そういうコーチは前から欲しかった。「前回の全日本でなぜ丹羽に負けたのか、こうだっただろ」と言われて、それも納得できたんですよね。

 

●ー次の全日本で丹羽と決勝で戦った場合、前回は丹羽のベンチに入った邱さんが、今度は隼のベンチに入るんだね。

水谷 そうですね。それはあまり気にしないですよ。他の人は何か思うかもしれないけど。ぼくもそれを心配していて、邱さんに聞いたけど、今までは丹羽が青森山田の選手だったから入っていたんだと言われたので、それなら大丈夫かなと。

 

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