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世界卓球2025

南米初の世界チャンピオンが誕生するのか。最終ゲームの連続10本取り!梁靖崑との死闘をくぐり抜けたカルデラノ

なんという結末だろう。

男子シングルス準決勝でカルデラノ(ブラジル)が3-1とゲームをリードして、勝利に王手をかけたのだが、梁靖崑(中国)が3-3に追いついた。
最終ゲームも0-3とリードされ、流れは梁靖崑だった。しかし、そこからカルデラノが怒涛の10本連続得点。10-3と逆転し、決着したかと思いきや、そこから梁靖崑が6本連取して9-10と猛追。最後はカルデラノがバックドライブを振り抜き、死闘にピリオドを打った。床に倒れるカルデラノ。

会場は中国から駆けつけた応援団で埋まり、カルデラノのアウェイ状態だったが、甲高い応援が最後は落胆の悲鳴に変わった。

会場でのインタビューで、その目が涙に濡れていたカルデラノ。

「タフな試合だった。この試合には多くのストーリーが詰め込まれている。4ゲーム目まではぼくのベストプレーができていた。そこから梁靖崑が素晴らしいプレーでカムバックしてきて3-3となり、最終ゲームも0-3とリードされた。気持ちが落ちかけたけど、ぼくは本当に勝ちたかった。そこから10-3、そして10-9となった。強いメンタルを最後までキープできた。応援してくれた会場の観客、そして支えてくれた家族に感謝したい。みんな、ありがとう」

1926年に1回目の世界選手権がロンドンで開催され、草創期にはヨーロッパが、1950年代からアジアが台頭し、1970年代からアジアとヨーロッパが拮抗する時代を経て、2000年以降、中国が長く覇権を握ってきた。その歴史の壁に風穴を開けたブラジルのカルデラノ。

少年時代、卓球と並行に、バレーボールや陸上競技に夢中になっていたウーゴ・カルデラノ。12歳までは卓球は遊びだった。彼の卓球年齢はまだ15歳。南米に咲かせたカルデラノ卓球の花は今、大きく開花の時期を迎えている。
決勝の相手は4月のワールドカップの準決勝で勝利した王楚欽(中国)。競り合いは必至。最後にどんなドラマを見せてくれるのだろう。

 

唸りを上げたカルデラノのフォアドライブ。3週間前のオンラインインタビューでは「ワールドカップ優勝で歴史に名を刻めたことがうれしい」と語っていたが、さらに上の世界の歴史に名を刻むかもしれない

▼カルデラノのインタビュー

W杯優勝、ウーゴ・カルデラノ「中国選手に勝つことは不可能ではない、と示せた」

【アーカイブ・カルデラノ】「オリンピックでは何が起こるかわからないし、何でも起こり得る場所なんだ」

【アーカイブ・カルデラノ】水谷隼×ウーゴ・カルデラノ スペシャルトーク[前編]

「超短い言葉でまとめれば、メダルを獲るにふさわしい人間かふさわしくない人間かということだと思う」─水谷

「ビッグゲームの勝利と敗北の差というのは本当に小さなものだった」─カルデラノ

 

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