●女子シングルス決勝
孫穎莎(中国) 6、10、-8、-5、10、-11、7 王曼昱(中国)
まさに世界女王を決めるにふさわしい名勝負、死闘だった。孫穎莎は運に見放された場面もありながら、徹底的に自分を信じて攻め続け、最後には勝利の女神を自力で振り向かせた。
1ゲーム目、2ゲーム目は両者激しく打ち合いながらも攻撃力に勝る孫穎莎が連取。このまま2連覇へ電車道かと思われたが、そこから前々回大会の女王・王曼昱が反撃に出る。3ゲーム目は10-6から10-8まで追い上げられながらタイムアウトも活用して11-8で取り、4ゲーム目は冷静にバック対バックの打ち合いを制して11-5と完勝。勝負は2-2のタイとなった。
5ゲーム目は序盤からほとんどスコアが離れない接戦が続き、9-9となったところで孫穎莎がチャンスボールを回り込んでミスショット。しかし、次の1本も孫穎莎はラリーから回り込んでバッククロスを打ち抜き、10-10に追いつく。その次もフォアフリック→バックハンド→フォアハンド強打で得点し、これに押された王曼昱が次の1本でバックハンドをオーバーミス。12-10で孫穎莎が取り切った。
6ゲーム目は孫穎莎が中盤からリードを広げ、10-6とチャンピオンシップポイントを握る。そして、王曼昱がラリーで次の1本を取ったところで盤石のタイムアウト。だが、ここから信じられないことが起きる。タイムアウト明けの1本はバック対バックのラリーを王曼昱が制して10-8。さらに王曼昱はフォアクロスへ強打を決めて10-9。そこから激しいラリー戦の中、孫穎莎が回り込んでバックストレートへ渾身のフォアハンドドライブを放ち、王曼昱は一杯に伸ばした手とラケットでそれに触るのが精一杯。ボールは力なく空中へ高く上がり、勝負あったと思われたその瞬間、なんとそのボールが孫穎莎のコートのエッジをかすめたのだ。10-10。場内が騒然とする中、11-12から孫穎莎のフォアハンド強打がミスとなり、11-13。勝負は3-3のファイナルゲームへともつれ込んだ。
第7ゲームは立ち上がり、運を味方につけた王曼昱が3-0とスタートダッシュをかける。しかし、孫穎莎もタダでは引き下がらない。徐々に盛り返してスコアを4-4のタイに戻し、5-7からは怒涛の6本連取。バックハンドの電撃カウンター、フォアクロスからフォアストレートへの高速フォアハンドドライブ連打などで王曼昱を追い詰め、最後は根負けした王曼昱が2本連続でミス。11-7で試合を締めた孫穎莎はコートに大の字になり、薄氷の思いで得た勝利を噛み締めた。
孫穎莎の武器はやはりフォアハンド。バック対バックで王曼昱に苦しめられながら、回り込んでの強打を何度も敢行した
バック対バックでは優位に立つことが多かった王曼昱。最終ゲームは果敢に攻めたが、孫穎莎の反撃を防げなかった
第6ゲーム終盤では信じられないエッジボールで失点するなど不運に見舞われながら耐え抜いた孫穎莎は、勝利の瞬間フロアに大の字になった
戦い終われば、同じ祖国の盟友。五星紅旗を手にツーショットの孫穎莎(右)と王曼昱
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