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中国リポート

国家女子チームは6名が引退。無名の英雄たちがチームを去る

4名の引退が発表された国家男子チームに続き、国家女子チームは顧玉ティン(26歳)、劉斐(27歳)、車暁㬢(28歳)、李佳イ(27歳)、馮亜蘭(31歳)、張薔(27歳)の6名が代表選手としてのキャリアにピリオドを打つ。

馮亜蘭は17年世界選手権にグルーツ(デンマーク)との国際ペアで出場。その他の選手たちも、いずれも国際大会に中国代表として出場した経験を持つが、世界ジュニアに出場しているのは馮亜蘭(06年大会優勝)と顧玉ティン(13年大会優勝)のふたりだけ。守備力の高いカット型である劉斐、ペンドライブ型の張薔、ヨーロッパタイプに近いシェークドライブ型の車暁㬢など、ライバルチームの仮想選手として、1軍の主力メンバーの練習相手を務めていた選手が多い。

国家女子1・2軍チームでは、引退する選手たちに変わる若手として、カット型は18歳の楊屹韻、ペンドライブ型は20歳の斉菲と19歳の呉洋晨、左シェークドライブ型は21歳の銭天一に17歳の蒯曼など、多彩な戦型を揃えている。

国家チームを引退する選手たちを振り返ると、様々なシーンが思い浮かぶ。2009年の第11回全中国運動会で、まだ15歳だった李佳イと会場行きのバスが一緒になり、カメラマンの高橋和幸発行人(当時)が「頑張ってね!」と声をかけると初々しい笑顔を見せていた。2013年の世界ジュニアで、中国代表では歴代最多の5大会連続出場となった顧玉ティンが悲願の優勝を果たし、見せた安堵の笑顔も懐かしい。

5大会連続の世界ジュニア出場で、ついにシングルス優勝を成し遂げた顧玉ティン(2013年世界ジュニア)

2015年の超級リーグプレーオフでは、15年の超級リーグプレーオフで北京首鋼の優勝メンバーとなった馮亜蘭が、表彰式で観客をあおり、派手なパフォーマンスを見せていた。中国選手でありながら、全身にタトゥーを入れている個性派プレーヤーだった。

一部の女性ファンに熱狂的な人気を誇った馮亜蘭(中央)。丁寧の笑顔もまぶしい

カットの劉斐は、2015年のジャパンオープンで日本の伊藤美誠選手と対戦して惜敗。伊藤選手は14歳だった当時から、カットキラーの凄みを見せていた。その伊藤選手が2017年のオーストラリアオープンで張薔に敗れ、それを契機に「東京オリンピックでの金メダル」という目標に向けて本格的に始動したことを、松崎太佑コーチが卓球王国12月号(最新号)で語っている。

15年ジャパンオープンでプレーする劉斐。攻撃力のある武楊に対し、こちらは守備力が身上のカット型だった

なお、国家女子チームの人事として、女子1軍チームの黄海誠コーチが国家チームを離れることも伝えられている。黄海誠コーチは孫穎莎の担当コーチ。先日の東京オリンピックの女子シングルス決勝でも、陳夢の担当コーチである馬琳と黄海誠が、互いに距離を取りながら観客席で教え子に声援を送っていた。退任の理由は、子どもがまだ小さいことによる家庭的な事情とのこと。孫穎莎の後任の担当コーチについては、まだ発表されていない。

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