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インタビュー

「審判は卓球との関わり方のひとつ」。史上最年少の公認レフェリー・岡部祐輔

●「伝え方」も審判の技量。審判という卓球との関わり方

――多くの試合で審判を務めて、たくさんの先輩方のジャッジも見てきたかと思いますが、理想の審判像みたいなものはありますか。

岡部「最新のルールを理解しておくことは大前提だと思います。あとは選手に違反をさせないこと。『違反を放置が三流』『違反に対して注意するのが二流』『違反をさせないのが一流』の審判員だと、よく言われます。

 そして、ぼくが尊敬する審判員の先輩方に共通しているのは、『伝え方』が素晴らしいということ。ルールに則って選手に注意を与えても、伝え方によっては選手に反感を持たれる場合もある。いかに柔らかく、選手が納得するように伝えられるかが、審判にとっては大事だと思います」

 

――「審判」というと、「敗者審判」を連想する人も多いかと思います。それによってどこかネガティブなイメージを持たれることもあると思いますが……

岡部「それはあるかもしれません。大学の卒論も『敗者審判はなぜネガティブに捉えられるのか』をテーマにしました(笑)。資格を持った審判と敗者審判では、やっぱり責任感も違うし、大会を運営することに関する意識も違う。そこに楽しさを見出せるかだと思います。

 でも、敗者審判って良いシステムだと思うんですよ。全部の試合にちゃんとした審判員をつけたら、オープン大会なんてできないし、敗者審判っていうシステムがあるから大会を回せるんだと思います。試合に負けたら『はい、終わり』じゃなくて、審判として大会の運営に参加することにもなっていますよね」

 

――「審判」にもっと関心を持ってほしいという願いは当然ありますよね。

岡部「最近は30~40代の若手審判員も増えてきているんです。全日本だと、数年前から各都道府県から少なくとも1人は審判員を派遣してもらうようにしていて、若い審判員が参加することが多いです。

 でも、もっと若い人たちに興味を持ってもらいたい。若いうちから審判としてキャリアをスタートさせることで、経験も知識もどんどんブラッシュアップさせていけるし、ルール変更にもスムーズに対応できるはずです。ぼくの最年少資格取得記録を塗り替えるような若手が出てきてほしいですね。

 『審判』を卓球との関わり方のひとつとして捉えれば、もっと魅力的なものになると感じるんです。選手としては経験できない舞台にも、審判として携わる道もあるということですね。審判は、卓球の実力に関係なく『卓球が大好き』という人が輝ける仕事だと思います」

 

◆岡部祐輔(おかべ・ゆうすけ)

1985年4月12日生まれ。山梨県出身。都留高2年時に公認審判員、成蹊大学在学中に国際審判員の資格を取得。全日本には2009年度大会より審判員として参加。日本卓球協会の公認レフェリーとして活動中。山梨県卓球協会審判部所属

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