WTT(ワールド・テーブル・テニス)から、WTTシリーズに関する大幅なルール変更が発表された。WTTは2025年以降の大会運営において、選手の負担軽減と競技の魅力を高めるための重要な変更として、主に下記の変更を行うとした。
●WTTグランドスマッシュへの強制参加義務を撤廃
これにより、2025年に残る3つのグランドスマッシュ(アメリカスマッシュ:7月、ヨーロッパスマッシュ:8月、中国スマッシュ:9月)に出場権を持つ選手が参加、不参加を決めることができるようになる。
●WTTチャンピオンズへの年間2大会の参加免除
4月のチャンピオンズ仁川から適用される新ルールで、以降のチャンピオンズにおいて参加資格のある選手が年間2大会の参加免除(不参加)が認められるようになる。
●賞金100万ドルの増加
すでに大幅に増加した2025年の賞金総額に加え、すべての大会レベルで金銭的インセンティブの強化のため、さらに100万ドルを追加することがWTT理事会で承認された。
●オリンピック金メダリストへのゴールデンチケット
オリンピック金メダリストは、すべてのグランドスマッシュおよび6つのチャンピオンズに出場する特別な機会が与えられることが決まった。この特権はオリンピックの勝利から4年間有効となる。
●競技フォーマットの強化
7ゲームズマッチの試合をより多くしていくことを検討する。
以下は、WTTのスティーブ・デイントンCEOを始め、リーダーのコメント。
スティーブ・デイントン(WTT CEO)「WTTは選手のためによりプロフェッショナルな道を築くために創立されました。私たちのイベントは成熟し、その成功を確信しており、これらの変更を実施できる余裕があります。この決定は、選手にとって歓迎されるものであり、私たちのプレミアムイベントをさらに強化することになるでしょう」
スティーブ・デイントン(WTT CEO)
ペトラ・ソーイング(ITTF会長)「選手は私たちの活動の中心であり、彼らのフィードバックを真摯に受け止めています。WTTがこれらのポジティブな変更を実施していることをうれしく思います。私たちの共同の力で懸念に真摯に、協力的かつ迅速に対処できることを示しています」
劉国梁(WTT理事会会長)「選手や関係者からのフィードバックは非常に重要であり、WTTシリーズを継続的に進化させるという私たちのコミットメントを再確認しました。これらの変更は、卓球をよりエキサイティングで報酬のある、選手中心のものにすることを反映しています。タスクフォースの努力と卓球界の建設的な意見に心から感謝します」
劉国梁(WTT理事会会長)
今回のルール変更の中で注目したいのは、大会の強制参加義務の撤廃と参加免除。そして、オリンピック金メダリストのゴールデンチケット(招待参加)だろう。
グランドスマッシュやチャンピオンズへの出場が軽減されることは、選手にとって負担軽減になることは間違いない。しかし、WTTの勝敗は世界ランキングが関係しているため、世界ランキングを上げたい(落としたくない)と考える選手は、グランドスマッシュの不参加やチャンピオンズの2大会までの参加免除を使わずに、これまで通り大会に参加する選手が多いのではないだろうか。
オリンピック金メダリストのゴールデンチケットについては、現実的にこのルールを使ってグランドスマッシュやチャンピオンズへの出場が考えられるのは樊振東(中国)になるか。樊振東は昨年末にITTFに対して、世界ランキングからの離脱を申請し、受理されたことを発表。自身のSNS『微博(ウェイボー)』で「まだ引退はすることはないし、これからも努力を続けてその他の大会には出場します」と綴っていた。
樊振東は、WTTグランドスマッシュ、チャンピオンズに出場してくるのか
ツイート