地元・横浜の大歓声を背に、世界ランク1位・王楚欽へ挑んだ戸上隼輔。1ゲームを奪い、会場を大いに沸かせたが、試合は世界王者の圧に押し切られた。試合後、彼は率直に課題と感情を語った。
⚫︎男子シングルス準々決勝
戸上隼輔(日本) 1 (-7,5,-7,-5,-3) 4 王楚欽(中国)
「王楚欽とは何度か対戦していて、上田コーチと歩み始めて、自分がどの立ち位置にいるかを確かめる試合でした」。第1ゲームを奪った手応えはあったが、続く展開では世界1位の圧に押された。
「戦術を試そうと思ったけど、相手の圧にやられてしまって、思い切った戦術が出せなかった」。特にサービスへの対応は難しかったと振り返る。「3球目が来るイメージを持ちすぎて、強いチキータや狙いの台上ができなかった。他のトップ選手と比べてもサービスは良くて、慣れることができなかった」。
試合前夜はコンビニで買った食事を部屋で上田コーチと取りながら作戦会議をしたが、「昨日話したことが今日はできなくて、ラリーに持っていけなかった。大きなズレがありました」と悔しさを滲ませた。
「1-1になった時はチャンスがあると思ったけど、第3ゲーム以降は悪いイメージのまま進んでしまった」。そして「王楚欽に勝てば世界一になれると誰もが思っている。その下が誰になるのかはわからないけど、彼は頭一つ抜けている」と世界王者への敬意を語った。
戸上は世界チャンピオンの王楚欽に対して真っ向から打ち合った
王楚欽は超攻撃的なプレートパワーで戸上に圧を与え続けた
王楚欽は試合後、「序盤は相手が非常にアグレッシブで、自分のペースを掴むのに時間がかかった」と振り返った。それでも第3ゲームからは対応を修正し、リズムを取り戻す。「サーブとレシーブの質を上げ、ラリーでは相手の先手を封じることを意識した」。
横浜の会場については「観客の声援はとてもエネルギーになる。相手への声援が多くても、それが自分をより集中させてくれる」と語る。大舞台であっても特別視はせず、「大きな大会でも、小さな大会でも、準備の仕方は同じ。常に平常心を保つことが大事」と、冷静な口調で語った。
戸上については「パワーがあり、速い展開での対応も優れている。これからもっと上に来る選手だと思う」と評価を送った。
会場を埋め尽くしたファンに手を降る王楚欽
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