卓球王国 2021年2月20日 発売 vol.287
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4月のWTT中国ハブは開催するのか? 水面下で右往左往の世界の卓球界

今、世界中の卓球協会が水面下でざわついているのは3月のWTT中東ハブの話ではなく、その後に「あるかもしれない」WTT中国ハブだ。

中東ハブ(カタール・ドーハ)では2月28日から3月6日までが「WTTコンテンダー」で、3月8日から13日までが「WTTスターコンテンダー」。その後、3月14日から17日まで五輪・世界シングルス予選、18日から20日まで五輪・アジア予選というカレンダーになっている。

今までの五輪では各大陸予選が先に行われ、そこで敗れた選手が最後のチャンスとして世界最終予選に出場していたが、今回はコロナ禍によるスケジュールの変更が余儀なくされ、先に世界予選が行われ、そこで敗れた選手が大陸予選に挑むやり方になりそうだ。世界予選には男子が76名、女子は63名がエントリーしている。

すでに団体出場が決まっている男女16チームは自動的に各チームから2名ずつのシングルスの出場が決まっている。五輪のホスト国であり、16チームにも入っている日本は世界予選には出場しない。

日本選手の多くは2月26日前後からカタールに向かう。丹羽孝希や水谷隼などのようにスターコンテンダーのみ出場の選手たちは3月に入ってから出発する予定だ。

 

昨年11月のワールドカップでの張本智和

 

ところが、現在公式発表されていないが、4月からWTT中国ハブがあり、そこで3、4大会が開催されるという情報がすでに流れている。場所は中国の山東省威海で、去年の11月にワールドカップをやった会場だ。しかし、実際に開催されるという発表がITTF(国際卓球連盟)からないために派遣選手メンバーも発表されていない。

もし中国ハブが行われるとすると、日本選手団の多くはカタールから直接中国へ向かい、2週間の隔離期間を経て、大会に臨むことになりそうだ。カタールに出ている中国のトップ選手は男子の許昕、女子の孫穎莎、劉詩ウェンの3名のみで、ほとんどの中国選手は他国の選手が隔離されている間に練習をしている状況が予想される。

そういう中での試合がアンフエア(不平等)だという声は当然あがっているし、かつカタールに出場する選手は2ヵ月以上の遠征となる。

東京五輪が開催となれば、5月上旬に日本に帰国してから2カ月ほどしか準備期間がない。

選手たちは長期遠征に備えて卓球メーカーに大量のラバーをオーダーしたりと、あるかないかもわからない中国ハブへの準備で大わらわの状態になっている。

WTTに世界ランキングという人質を取られている状態で、東京五輪のチームランキングやシードに直結する世界ランキングは一体どうなるのか。

カタールではコンテンダーとスターコンテンダーだけでなく、世界シングルス予選とアジア予選も開催される。4月には南米の五輪予選、ヨーロッパの五輪予選も控えている。そういう中で、五輪予選と中国ハブが重複した場合、出場選手のフェアネス(平等)を担保できるのだろうか。

国際卓球連盟が一枚岩になっていない中でのWTTが世界ランキングを支配し、選手たちにタイトなスケジュールを突きつける本当の意味は何なのか。そこに中国のスポンサーマネーも関係しているのか。

あまりにも不確実な要素が多く、誰もが不安になり、疑心暗鬼になっている。一部の選手からは「中国ハブは開催するべきではない」というレターがITTFに送られている。

国際大会が行われるという経験は貴重ではあるが、コロナ禍では尋常なスケジュールとは言えないだろう。2021年の出だしから、国際卓球連盟、そしてWTTがコロナ以上に世界の卓球関係者を悩ませている。

カタールの2大会に出場する伊藤美誠

 

全日本チャンピオンの石川佳純は、Tリーグに出場後にカタールに出発する

 

水谷とともにスターコンテンダーに出場する丹羽孝希