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世界卓球2025

張本美和、北朝鮮の難敵キム・クムヨンとの大激闘を乗り越え、女子シングルスで4回戦進出を決める

●女子シングルス3回戦
張本美和 8、-5、6、7、-8、-8、3 キム・クムヨン(北朝鮮)

張本にとって、ドローが開いた時からシングルスにおける前半戦最大の難所と言われていたキム戦。キムは小柄ながらバック面に激しく球質が変化する粒高ラバーを使用し、相手のショットやタイミングを狂わせる変幻自在のプレーヤーで、2024年のパリ五輪混合ダブルスの銀メダリスト。同年秋のアジア選手権ではシングルスのチャンピオンに輝いている。張本にとっては、その決勝で敗れた因縁の相手だった。

試合は1ゲーム目、お互いが打ち合う打撃戦となり張本が先制。2ゲーム目は一転して守りを固めたキムに対して張本が打ちあぐね、1-1のタイとなる。3・4ゲーム目はリズム良く攻め立てた張本が連取し、このまま押し切るかと思われたが、キムはやはり強かった。5・6ゲーム目は徹底的なバック面での守備に徹し持久戦に持ち込んで、張本の体力と集中力を削る作戦で取り返し、勝負は最終第7ゲームへ。ただ、誰もが美和危うしと思ったそこからが、張本の本領だった。出足から攻撃的なプレーを連発し6-0とスタートダッシュをかけると、その後も攻め手をゆるめず11-3で勝ち切った。

苦しみながらも見事なギアチェンジでピンチを脱した張本美和。確かな成長のあとが見られ、今後の進撃にも大いに期待ができる内容の勝利だった。

※北朝鮮=朝鮮民主主義人民共和国

時に粘り強く、時に思い切ってプレーした張本。死力を尽くした戦いに勝利した

試合の中盤から驚異的なカムバックを見せたキム。変則型の宿命である「慣れられたら終わり」というレベルの選手ではないことを証明した

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