卓球王国 2022年9月21日 発売
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「用具のタブー」ってなんだ? 黒いラバーは回転がかかるのか??

 

世界のトップ選手はほとんどがフォア面に黒いラバーを貼るのはなぜだろうか? 写真は馬龍

 

あなたはカン違いしていないだろうか、卓球用具の常識を

かつて五輪メダリストの水谷隼とこういう話をしたことがある。

「同じ『テナジー』でも黒いラバーのほうが回転がかかると思う? 今フォア面に黒いラバーを貼っているよね」と彼に聞くと、「黒いラバーのほうが回転がかかるんですよ」と水谷。「でもメーカーは黒も赤も性能は同じだと言うけど」と畳み掛けても、「違うんですよ。打ったらわかります」と返答されて、話は終わった。

卓球界のリーディングカンパニーのタマス社でも、ドイツのラバー工場のESN社に聞いても、答えは同じだ。「黒と赤のラバーの性能は同じ」。

実際にラバーを製造する現場で見ていても、ゴムを練り、薬品などを加硫する段階でも、投入する黒と赤の顔料はほんのわずかである。ラバーの回転性能は色ではなく、違う部分で決まるのだが選手たちは「色にこだわる」。

中国メーカーの関係者に聞くともっとわかりやすい。中国で昔から製造されているブルースポンジを赤いトップシートに貼ると濃い赤になってルール上使えない。それで黒のトップシートを貼るようになった。

1970年代に中国が使った両面異色での反転プレー(現在はルールで同色は禁止)では、黒色でなければ相手に見破られるので、黒ラバーが中国選手にとっては当たり前のようになっていった。一方、日本製のラバーをバック面に貼ることが多いのは、フォア面で回転重視、バック面は安定と弾力のあるボールを打ちたいからで、バック面に貼っていた日本製の赤いラバーが「弾む」というイメージを中国選手は持っている。

 

また、卓球選手は重いラケットや、重いラバーで打った時に「重いボールだ」と感じることが多いようだ。ボールの球質は受ける側の感覚的なもので、重いラケットで打ったボールが2.7gより重くなることも物理的にはない。

卓球ほど、ラケットとラバーという繊細な用具を扱うスポーツはない。ましてやラケットは85%以上を木材を使わなければいけないというルールで、天然素材の木はまさに「生き物」で、同じ種類の木を使っても個体差がある。

表ソフトを使う人も粒の種類や硬さを気にすることが多い。加えて、粒が横目なのか縦目なのかも気にする。実際には使う技術によってラケットがボールに接触する角度が違うために、どの選手でも横目としてボールに接触する時と、縦目として接触する時があるのだが、この粒の配列にも相当こだわる。

卓球という競技では、用具の良し悪しが試合の勝負に直結もするし、粒高のように相手の回転を利用するラバーまで存在するので、相手用具との相性まで勝敗に結びつく。ゆえに、選手たちは用具を気にするし、用具選びに喜びを感じる人が多いのはそのせいだ。

卓球選手が用具へのファンタジー(空想)を持ち、赤でも黒でも、重くても軽くても、それによって心が動くからこそ楽しいのだ。でも空想がいき過ぎて、勘違いするのもいけないだろう。

卓球王国最新号ではそんな「卓球用具のタブー(触れてはいけない事柄)」に「少しだけ」触れてみた。

・重いラケットで打つとボールは重いのか

・なぜ3000円くらいのラバーの相場が8000円、9000円になったのか

・日本で売るシューズと欧州で売るシューズは違うのか

・卓球で厚底シューズは登場するのか

・シューズの軽さと、耐久性は両立できるのか

・黒いラバーは回転がかかるのか

・なぜバタフライだけスポンジ硬度表記が違うのか

・硬いスポンジのほうが威力は出るのか

・表ソフトのほうが裏ソフトよりもスピードが出るのか

・粘着が強いほど回転はかかるのか

・強い回転のボールに裏ソフトはスリップするのか

・合板枚数が多いほど、弾むラケットになるのか

・日本のユーザーはヨーロッパや中国よりもラケット重量を気にするのか

・契約選手は市販の用具を使っているのか

・プラスチックボールで回転量とスピードはダウンしたのか

・粒ラバーの表面に布目があると回転がかかるのか

・メーカーの性能表記は信じていいのか

・表ソフトの縦目と横目で性能は本当に違うのか

以上の18項目。中にはタブーと言えないものもあるが、卓球メーカーの人も「なるほどね」と思う事柄を入れ込んでいるところが、この特集の「ミソ」である。

 

ラバーのスポンジの硬度は打球にどのような影響を与えるのだろう

 

卓球王国最新5月号の用具特集「用具の18のタブーに迫る」は用具マニアもそうでない人も必見

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