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インタビュー

【PEOPLE】仲間に愛される「南波パパ」は、日本卓球界を支える縁の下の力持ち

南波は現在、日本卓球協会の事務局に籍を置き、「縁の下の力持ち」として卓球界を支えている。
34年勤務した旅行会社では営業本部長を務め、部下の数は100人を超えていたというが、「もともと出世にこだわるタイプでもないし、仕事の合間に卓球をやっていたというより、卓球があったからこそ仕事ができた。卓球がメインなんです」と南波は笑う。60歳になったら卓球に関する仕事をやりたいと考えていたが、コロナ禍の中で早期退職することを決め、予定より2年早く「第二の人生」をスタート。退職の挨拶で回った営業先の中に、日本卓球協会も含まれていた。

 

−日本卓球協会事務局で働くようになったのはいつからですか?
南波:2021年の4月からですね。会社を退職してから、Tリーグに携わる仕事なども考えましたが、日本の卓球界の中枢で仕事をする機会というのはなかなかないだろうと思いました。妻にも相談しましたが、給料がいくらかなんて全然関係なかったですね。この仕事は将来役に立つだろうと思って、お話をいただいた翌日には履歴書を送っていました。

−事務局での仕事にもいろいろな分野がありますが、南波さんの主な仕事は何でしょう?
南波:主な仕事の内容として、ふたつの大きな柱があります。指導者の養成と競技者の育成です。
まず指導者の養成については、1〜4までクラス分けされている公認卓球コーチの講習会や更新研修会に関わっています。最近は指導者自身が最新の情報をどんどん取り入れられる時代ですが、そういう方々がより多くのことを学べる場を協会として設け、選手をしっかり指導できる指導者を増やしていきたい。

競技者の育成については、U-7(7歳以下)からU-15(15歳以下)までの各年代で、全国6ブロックで『パスウェイ研修合宿』を行っています。全国大会で上位に入れば、そのままJNT(ジュニアナショナルチーム)やHNT(ホープスナショナルチーム)に入る道が拓けますが、本戦出場者や各県の上位クラスの中にも、良い選手はたくさんいます。『パスウェイ研修合宿』は各県から推薦を受けてそういう選手を集め、結果次第ではJNTやHNTの選考合宿に出られたり、より上のクラスで活躍できる道を作るのが目的ですね。

−南波さん自身も高校から卓球を始めて、周りに強い選手がいる中から「下剋上」で勝っていくことに楽しみを感じていた。『パスウェイ研修合宿』に出る選手と共通点があるかもしれませんね。
南波:そうですね、頑張ってほしいという思いはあります。この前の世界ユースの予選では、パスウェイから勝ち上がって3位になった子もいる。惜しくも代表にはなれませんでしたが、今後もパスウェイの事業の中から、世界の舞台で活躍するような選手が生まれてきたら本当にうれしいですね。

−全国で合宿や講習会を行うとなると、忙しい時期は出張が続きますね。
南波:競技者育成の合宿が始まると、毎週木曜から日曜までずっと合宿に行く感じです。旅行会社に勤めていた時より、今のほうが全国を回っているかもしれないです。最近は仕事にもかなり慣れてきて、先読みして進められるようになってきましたが、最初は大変でしたね。

南波が毎日出勤する東京・新宿の『JAPAN SPORT OLYMPIC SQUARE』。日本卓球協会のオフィスがある

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