卓球王国 2024年12月20日 発売
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別冊グッズ『こだわりすぎた男たち』アーカイブ1「秋焼きスポンジ」

冨金原修 (チームDREAM)

[Profile]1946(昭和21)年11月6日生まれ、広島県出身。修道高3年時にインターハイベスト8、立教大でも選手として活躍。全日本マスターズでは平成19年度にローシックスティ、平成23年度にハイシックスティで優勝。右シェークフォア一枚+バック表ソフトカット型

2千本ラリーの一枚ラバー× 回転量No.1の表ソフト

正確無比なカットを繰り出すフォアの一枚ラバーと、 変化の激しいバックの回転系表ソフト。 冨金原修の用具選びからは、プレースタイルの 進化の足跡を読み取ることができる。

安定のフォア、変化のバック 世界王者のひと言で変身

中学2年の時、一枚ラバーで日本選手のループドライブをしのぎ切ったシド(ハンガリー)のプレーに感銘を受け、両面一枚ラバーのカットマンになったという冨金原修。

現在もフォア面は一枚ラバーの『コバルト』。カットの安定性には絶対の自信があり、要所では早い打球点の攻撃も仕掛ける。 一方でバック面は、高校時代からの友人である伊藤繁雄(69年世界王者・現タマス)の「もっと変化をつけて、一本でも早く勝負にいったらどうだ」というアドバイスを契機に表ソフトに変更した。伊藤の勧めでバタフライの変化系表ソフト『チャレンジャー・CHOP』(廃番)を貼ると、一気に勝率が上がった。現在使用する『パチスマⅡ』は回転量が抜群。「相手の打ちにくさ」を第一に考えた選択だ。

ラケットの『デフプレイ センゾー』は塩野真人(東京アート)使用のヒット作だが、人づてに中国選手の用具を調べてその存在を知り、誰より早く性能の高さを見抜いた。「カットやツッツキが沈むような球質で、相手は非常に打ちにくい。スイートスポットが広く、当たれば入る感じですね」

一枚ラバーと表ソフトを使うため、総重量が軽くなるのが難点だったが、卓球専門店に依頼して1年がかりで重いものを探し、175グラム前後の総重量を確保した。一枚ラバーの伝統を守りながら、進取の精神を忘れない冨金原。冷静沈着なカットプレーと同様、クレバーな用具選びだ。

 

『デフプレイ センゾー』は、卓球専門店に依頼して、1年がかりで平均重量よりかなり重い2本を確保した。やや軽いほうにはサイドやグリップに金属片を貼り(上写真)、全体のバランスを考えながら重量をアップ

「ずっとストレートグリップで、フレアグリップは考えたこともなかった」という冨金原。しかし、このラケットを使ってみて、力が入る場面でもグリップが深くなりすぎず、手首や指先を使いやすいフレアグリップのメリットを感じた

 

★ 使用用具(※OX=一枚ラバー)

ラケット:デフプレイ センゾー(木材5枚/FL・ドニック)

フォア面のラバー:コバルト(OX・ヤサカ)

バック面のラバー:パチスマⅡ(中厚・ジュウイック)※現在は廃番

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