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別冊グッズ『こだわりすぎた男たち』アーカイブ1「秋焼きスポンジ」

5月17日にいよいよ発売される『別冊卓球グッズ2021』。別冊卓球グッズが2001年にスタートしてから、数多くの企画が誌面を飾ってきたが、毎年掲載される「名物企画」として人気を集めているのが『こだわりすぎた男たち』だ。

普段から注目を集めるトップ選手の使用用具ではなく、マスターズ世代のプレーヤーの何とも「濃い」用具へのこだわりを紹介するこの企画。『別冊卓球グッズ2015』からスタートし、なんと今回で7回目。別冊全体を見れば決してメインとは言えないのだが、人気アンケートでは毎回上位にランクインする人気を誇っている。

『別冊卓球グッズ2021』の発売を記念して、過去の『こだわりすぎた男たち』から、アーカイブとしてその一部を紹介。ディープな用具の世界に浸ってください!

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【別冊卓球グッズ2015より】 ※プレー写真や使用用具、所属チームなどは掲載当時のものです

 

中村提見 (サザンクロス)

[Profile]1946(昭和21)年2月28日生まれ、北海道出身。修徳高を経て國學院大に進み、東日本学生選手権でベスト8。卒業後も全日本社会人40代優勝、全日本マスターズ・ハイシックスティとローセブンティでそれぞれ2回優勝するなど、多数のタイトルを獲得。右ペン表ソフト速攻型

100本に1本の桂単板×御用達の「秋焼きスポンジ」

伝家の宝刀・ナックルボールを武器に、 裏ソフトの選手たちを手玉に取る中村提見(ひさみ)。 その精緻なプレーゆえに、用具に対しては 他の追随を許さないこだわりを見せる。

ナックルを生む独特の用具は 対裏ソフトで生きる

「裏ソフトの速いボールや強い回転のボールは大好きですよ」と語る中村提見。相手の回転を利用して、スピードやナックルの変化を生み出す独創的なプレーは、弾む桂単板に弾まない変化系表ソフトを合わせた異端の用具に支えられている。

使用するラケットは高い反発力を誇る桂単板『武蔵KATSURA』(廃番)。パワーがなくても飛ばせる用具が欲しかった。100グラムと非常に重いが、だからこそ力が抜け、コンパクトに速く振れる。ヤサカが100本用意した中から、握った感触や重量で選抜を重ね、たどり着いた一本だ。

単板ラケットを選ぶ際、ユーザーが重視するのは木目。中村はあえて、まっすぐ目の通った「柾目」と目が斜めに出る「斜目」、ふたつの木目が入ったものを選んだ。「斜目の部分は硬いので、ボールが当たるとスーッとナックルになって飛んでいく。柾目の部分は軟らかくてよく飛ぶけど、素直な球質になる」。打球する場所でボールを変化させ、相手のスイートスポットを数センチ単位で外す。まさに職人芸だ。

合わせる表ソフトは『赤マーク MAX』。粒が小さく、間隔が広く、ナチュラルな変化が出る。そしてスポンジは秋に焼いたものにこだわる。「スポンジは含まれる水分が多いと気泡が多くて軟らかくなりますが、冬だと乾燥して硬くなりすぎ、夏だと水分が多すぎる」。これぞ中村御用達の「秋焼きスポンジ」。飽くなきこだわりに脱帽だ。

●「ラケットは落とさなければ良い。握るというより、グリップ部分を軽くおさえる感覚」と語る中村。裏面の指が当たる部分もほとんど削れていない

 

●グリップ部分は桂材独特の飴(あめ)色の光沢(こうたく)を放つ。コルク部分をやや短くすることで、重心を先端寄りにしている

 

★ 使用用具

ラケット:武蔵KATSURA(桂単板/角型・ヤサカ ※廃番)

フォア面のラバー:赤マークMAX(薄・アームストロング)

 

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