卓球王国 2024年4月22日 発売
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別冊グッズ『こだわりすぎた男たち』アーカイブ2「ショートの鬼の10mm単板」

上野 晴人(トキワクラブ)

台より低いボールも叩く! 独創のナックルチョッパー

08年全日本マスターズ・ローシックスティ決勝で、優勝候補筆頭の勝英雄をカットマンとは思えないほどの スマッシュの嵐で下した上野晴人。 コントロール系ラバーに求めたフィット感と性能とは?

カットマンの常識を覆す 用具選びと攻撃力

「卓球は何をするかはこちらの自由。絶対に入らないボールなどない」

それが08年全日本マスターズ・ローシックスティ王者、上野晴人のプレー哲学だ。ナックルカットから叩き込む豪快なスマッシュ。人と違うことをやろうと、長い下回転サービスを中陣で台より低い位置で叩く「究極のスマッシュ練習」をやり込んだ。

全部入ると思って打つ。そんな心理状態で用具に求めるのは威力より「フィット感」。なんと両面ともコントロール系の裏ソフトを選ぶ。強い回転はかけにくいが、相手の回転の影響も少ないからだ。

フォア面の『レトラ』はドライブもスマッシュも安定して打て、バック面の『アルフィール』はカットの安定性に加え、切る時はかなり切れる。「少し切れたカットと切れたカット、ナックルカットと少し切れたカット。回転量は違っても回転の幅は同じだし、ナックルのほうが相手は打ちにくい」(上野)。一時期、フォア面をスピン系テンションの『ラクザ7ソフト』(ヤサカ)に変えたが、全く調子が出なかったという。

卓球以外の趣味はオーディオ機器の自作。ラケットにも応用の手を伸ばし、振動抑制などの目的で使用されるトルマリンの粉末をサイドテープの下に塗り込み、クオーツ(水晶)をグリップテープの下に忍ばせる。3枚合板の往年の名作『ディフェンダー』は異様な迫力を帯びるが、抜群の安定感ですでに10年以上、上野のプレーを支えている。

 

サイドテープとグリップテープの下にはトルマリンの粉末を塗り、さらにグリップテープの下にはクオーツ(水晶)を入れた。サイドテープはシルク(絹)製。

フォア面のレトラ(左)はタテ目、バック面のアルフィール(右)はヨコ目。裏ソフトも目にこだわる

 

 

●使用用具

ラケット:ディフェンダー(木材3枚/FL・ヤサカ)※現在は廃番

フォア面のラバー:レトラ(厚・ニッタク)※現在は廃番

バック面のラバー:アルフィール(厚・ニッタク)※現在は廃番

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