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別冊グッズ『こだわりすぎた男たち』アーカイブ3「幻のPF4」

西田 忠洋(チームN・E・O)

[Profile]1961(昭和36)年2月18日生まれ、島根県出身。松江商業高時代に島根県高校選手権で優勝し、年代別では05年全日本マスターズ・フォーティ3位、14年東京選手権フィフティ優勝。左ペンホルダー裏ソフトドライブ型

両サイドを切り落とした「先重心」 硬くて弾む超軽量ラケット

強面の容貌、堂々たる体躯からは想像できないほど、西田忠洋のラケットは軽い。 ラケットは常に台より高く構え、前陣での3球目攻撃とカウンターで勝負。 「先重心」にこだわり、前陣で瞬間的に威力が出せる工夫が詰まった一本だ。

硬くて飛ぶアクアブレード 前陣での攻撃に特化

西田忠洋のラケットにおけるこだわりのひとつ。それは「先重心」だ。知り合いのカヌー職人に頼んで角丸型のラケットの両サイドを削ってもらい、独特の細長い形状。さらに先端にはパワーテープを貼る。

「みんなには形が変だと言われるけど、先重心にして、少しでも球が走るようにしています。重さはラバーを貼って124g。常にラケットは台より高い位置に置いておきたいので、裏面のコルクもすべて剥がして軽量化しています」(西田)

「桧単板のダーカー」の隠れた名品と言われる『アクアブレード』シリーズ。西田が語る最大の魅力は硬さと球離れの良さ。ボールが直線的に飛んで相手コートに突き刺さり、レシーブも低く飛んでいく。「中国式ペンの特殊素材ラケットもたくさん試したけど、これが一番硬くて飛ぶ。カウンターがしやすくてショートも速い」と語る。

ラバーもスポンジ硬度は47.5度と硬めで、取材時(17年3月の東京選手権)はペン表ソフト対策として、ショートで押しやすい「中」の1.7㎜。プラボールになってから「厚」の1.9㎜も使うが、「永遠に特厚は使わない」という。薄くて切れるラバーでサービスをきっちりコントロールし、3球目攻撃とカウンターで前陣に特化した攻撃を見せる。

握りは技術に応じて、裏面の三本の指が自在に動く天才肌。軽量な用具に命を吹き込むのは、繊細なフィーリングなのだ。

 

裏面のコルクはすべて剥がして軽量化(上写真)。ラバーを貼った時の重量は124g。

重心を先端寄りにするため、先端にはパワーテープを貼る

ラバーは硬めが好みだが、「エボリューション」シリーズで最も硬い『MX-S』ではなく、2番目に硬い『MX-P』を使用。サムソノフ(ベラルーシ)らが愛用していることも、選んだ理由のひとつだ

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