5月17日にいよいよ発売される『別冊卓球グッズ2021』。その発売を記念して、別冊卓球グッズに2015年から毎年掲載される「名物企画」、『こだわりすぎた男たち』のアーカイブを一部紹介します。
特殊素材ラケットに両面スピン系テンションの若手選手とは、ひと味もふた味も違う……。いや、味付けの方向性が全く違う、マスターズプレーヤーのディープな用具の世界に浸ってください!
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【別冊卓球グッズ2017より】 ※プレー写真や使用用具、所属チームなどは掲載当時のものです
[Profile]1945(昭和20)年4月26日生まれ、新潟県出身。全日本マスターズでは98年にフィフティ優勝、05年にローシックスティで優勝し、ラージボールの大会でも活躍。右ペンホルダー表ソフト速攻型
相手の心理を読み切り、すかさず鋭い3球目スマッシュを突き刺す金田勉。その強打を生み出すのは、今や中国でも幻となった伝説の名作。「このラケットがなくなったら卓球人生は終わり」と言うほど惚れ込んだ一本だ。
飴色の光沢を放つ105gのブレードは見るからに硬質。中国で幾多の名選手に愛された中国式ペンの7枚合板モデルが、25年以上にわたって金田勉のプレーを支えている。
「このラケットは硬くて弾きが良い。少し軟らかめで安定感のある『モリストSP』を貼ると、ラバーを食い込ませてラケットの弾みで飛ばせる。自分の武器である3球目攻撃の決定率が高いんです」(金田)
この一本に出合う前から、金田は一時期ニッタクが輸入・販売していた『PF4』のラケットを使っていた。しかし、ある大会に出場した時に盗難に遭い、ラケットを含めて荷物一式をごっそり盗まれてしまう。
絶望感に襲われた金田を救ってくれたのは、ラージボール仲間のバリー・ヘイター。「香港なら、まだ『PF4』を売ってるよ」。そう教えてくれた「バリーさん」が、5本まとめて香港から取り寄せてくれた。届いた5本は重量も打球感もバラバラ、今使えるものは硬式用とラージ用の2本しか残っていない。中国ではすでに生産休止で、何物にも代え難いほど大事なラケットだ。
日本式の握りだが、指が短いのでブレードが厚い日本式ペンは操作しにくいという金田。薄い中国式のブレードに指を掛ける部分を取り付けた「良いとこ取り」のグリップで、根元はえぐれるほど深く削り、ガッチリ握る。そこから一撃で仕留める強烈なスマッシュが生み出されていくのだ。
●使用用具
ラケット:双喜 PF4(木材7枚/中国式・紅双喜) ※廃番
表面のラバー:モリストSP(特厚・ニッタク)
裏面のラバー:ニッタク C7(極薄・ニッタク)※現在は廃番
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