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吉村真晴「新しいプレースタイルを自分が切り開いていく」」。全日本初優勝のインタビュー

決勝で水谷を破り、優勝を決めた瞬間の吉村

試合をやっていても、
他人と同じセオリーどおりのことを
やりたくないし、
他の人と違うのを
見てほしい部分もあります。

ーーそこで、回り込もうとした水谷選手はミスをした。
吉村 そこでタイムアウトを取られたけど、自分は緊張してなかった。逆に水谷さんはプレッシャーがあったと思う。マッチポイントを取られても、「負けて当たり前でしょ」と開き直ってた。

ーー8ー10ではそれまで使っていないサービスを出した。
吉村 狙っていたというか、普通に出したら普通に厳しくレシーブされるから、いつ打つかわからないようなタイミングのサービスを出した。その場の思いつきで。それが当たった。9ー10までは覚えてますけど、その後何をしたか覚えてない。次にバックドライブを決めたと言われたけど、よく覚えていない。後で1回だけ全部ビデオを観ましたけど、観てても手に汗かきますね。自分で観ながら、「ここからまくったの?」「ここであんなボールを打つか、どんな心臓してるの?」とか、おもしろかったですね。

ーー決勝では、水谷選手は10本、吉村君は6本しかサービスエースを取っていない。二人ともレシーブミスが少なかった。
吉村 得点できていないからサービスが効いていないとは言えない。サービスで相手を崩していければ、自分から先に攻められて、自分の展開に持っていける。それに水谷さんのサービスの変化は見えてました。水谷さんに対して、みんなは打たれるから厳しくストップしようとか、厳しくコースを突こうとしているけど、自分は、相手に打たせて、それを待とうと思ってました。シンプルだけど、意表を突くレシーブから入ったことが良かった。

ーー最後に相手のレシーブがオーバーミスして、床に倒れ込んだ瞬間は?
吉村 「あああ〜」としか思わなかった。「ああ、優勝か」と。自分はうれしかったけど、水谷さんの前ではそんなにうれしい表情は出したくなかった。水谷さんも5連覇というものを築いた人だし、その人の前で「ワー!」というのはしたくなかったから、笑わずに水谷さんと握手したし、ベンチの高山さんとも笑わずに握手して、その後に自分は笑ったりしてたけど。

ーー優勝して、チャンピオンとしての自覚、責任感というものは?
吉村 自覚は持たなくてはいけないと思うけど、自分のこういう性格は変えようと思ってません。「チャンピオンになったらしっかりしなきゃいけない」と変える人もいるかもしれないけど、自分はこの性格、このスタイルが合っていて、だからこそ今の自分がある。

ーー性格、体、技術を自己分析すると。
吉村 精神面では、競った場面でも思い切ってプレッシャーを感じないプレーができているし、自分の思うことをやる。それを変えるつもりはない。生活ではやんちゃというか、遊び心があるし、卓球と一筋いうのではなく、余裕を持つのが自分の性格ですかね。
体は細いけど、手足は長いと言われてます。これから体力と筋力をつけて、この手足の長さを生かして、中国に勝つ卓球スタイルを作っていく。技術面では、この1年間でフォアハンドは良くなってきているし、サービス、レシーブはずっと進化しなきゃいけない。小さい時からバックのほうが得意でしたが、今は別にバックが得意とは思っていない。大事な場面ではフォアで行くのが当たり前ですから、一つひとつの技術を磨いていきたい。
打ち方は日本の中でも独特だと思う。一球一球打ち方が違う。でもそれは自分にとっては普通。自分らしさが出ている。手足の長さを生かしている。でも、そういうスタイルを作ってくれたのは橋津先生だと思う。

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