卓球王国 2024年4月22日 発売
バックナンバー 定期購読のお申し込み
全日本選手権2021

コロナ禍、そして大雪。11時間がかりで大阪に到着した遊学館

石川県金沢市に学校がある、高校卓球界の名門・遊学館高。全日本選手権に出場する男女9人を乗せた2台の車は、1月10日の11時半に金沢を出発。高速道路で行けるところまで行って、その後、国道で大阪に向かう計画だった。ところが、ここからが大変だった。

大雪のせいで早々と高速を下りて国道に出たものの、インターネットで天候を確認しながら、車は途中で金沢駅に引き返し、2時40分前後の北陸新幹線で東京に向かった。大阪までの電車も大雪のせいで運休になってしまったためだ。東京で東海道新幹線に乗り換え、遊学館の選手と監督が大阪に着いたのは夜の10時を過ぎていた。学校を出て、11時間が経っていた。

その日、大雪のせいで北陸道は1500台が立ち往生し、国道でも大渋滞。もし車での大阪行きを強行していたら、「おそらく試合には間に合わなかった。あの1500台の中にいたはず」と 遊学館高校男子卓球部の植木大監督は振り返る。

今大会で選手のベンチに入る遊学館高の植木大・男子卓球部監督

 

「大阪に着いて、選手は疲れていたはずだけど前向きでした。大変な思いをしたけど、コロナ禍の中、こうして全日本選手権を開催していただいた。大会が近づいて、選手たちは毎日のように『先生、全日本は開催しますか』と泣きそうな顔で聞いてくるんですよ。選手たちの全日本に出たいという気持ちが伝わってきました。大会を開催してくれたことに感謝しながら試合をしているんです」(植木監督)

ジュニア男子でベスト16に入った遊学館高の三浦裕大

 

主管団体の大阪卓球協会も大会を支えるスタッフを1.5倍に増やし、徹底的な感染予防を施し、大会を運営している。そして、この遊学館のように開催してくれた人たちに感謝しつつ、プレーする選手たち。ジュニアの選手にとっても、予選を勝ち抜き、つかみ取った代表。今年の全日本はいろいろな意味で彼らの心に刻まれることになる。

関連する記事