男子シングルス決勝の6ゲーム目、10-9でマッチポイントを握り、全日本チャンピオンまで「あと1点」とした森薗政崇。次の1本は互いにフォアで強打しあう、意地の張り合いのような叩き合いのラリーの末に、森薗の強打がコートをオーバーした。あの激しいラリーを、これから森薗政崇は何度思い出すのだろうか。
決勝後の会見で、「劇的な負け方をして、落ち込んでいるだろうといろんな人に言われたけど、卓球をやっていればいろんなことがある。脇目もふらずここまでやってきた。次のTリーグ、カタールオープン(WTT)を目指して前に進んでいきたい」と語った森薗。小学校に上がる前から父・誠さんの指導の下、厳しい練習を積んで数多の大会に出場し、中学生からはドイツ・ブンデスリーガのハードな試合環境の中で揉まれてきた。この全日本決勝も、今までに喫した数え切れない敗戦の中のひとつなのか。そうではあるまい。
シングルス4回戦で台にぶつけて傷めた左ひじは、昨日MRIを撮った結果、異常はなかったという。「それだけでも今日は安心してコートに入れた。今日は及川がぼくより少し強かった」と語った森薗。決勝後の会見は下記のとおり。
★森薗政崇・決勝後の会見
「今大会の目標はベスト4に入り、3月からのカタールオープン(WTT)に出場することでした。でも決勝はマッチポイントも取ったので、端(はた)から見たらリードして惜しかったと見えるだろうし、素直に悔しいです。
ゲームカウント2-0の4-1で、(及川のベンチに入った)邱建新さんのタイムアウト。10年間邱さんに教わってきたから、何かを変えてくるのはわかる。ぼくのフォアサイドへのサービスをツッツキで押し込んできたのがすぐわかった。あのタイムアウトは素晴らしかったと思います。
結果的に負けはしたけど、多少なりとも良い方向に行っている。サービスのモーションとか出し方を2週間前に変えた。プライベートで教わっている人がいて、その人のおかげで良いサービスが出せた。劇的な負け方をして、落ち込んでいるだろうといろんな人に言われたけど、卓球をやっていればいろんなことがある。脇目も振らずここまでやってきた。次のTリーグ、カタールオープンに前に進んでいきたい。
(全日本の決勝は)特に普段と変わらない。全日本の初戦のほうがもっと緊張する。でも3-1でリードして、勝ちをすごく意識した。全日本の場の雰囲気とか力を感じました。いつも『ダブルスだけ』と厳しい言い方をされてきて、今回も結果的に優勝できなかったけど、そう言う人を見返すことができるように頑張りたい。
自粛期間中はダブルスが禁止されていて、ダブルスを全くやっていない。ずっとシングルスをやってきた。待ち方もシングルスの待ち方ができた。ぼくは左利きで、ダブルスとシングルスでは待ち方が違うので、どちらかが調子が良いとどちらかが悪い。今回はシングルスに集中できました。正直な話、ぼくはシングルスよりもダブルスの方が合ってますね」
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