卓球王国 2024年4月22日 発売
バックナンバー 定期購読のお申し込み
全日本選手権2021

森薗のマッチポイント跳ね返し、及川瑞基が初優勝!

●男子シングルス決勝
及川瑞基(木下グループ) −8、−10、5、−8、9、10、4 森薗政崇(BOBSON)

男子シングルス決勝も大激戦!
及川瑞基が6ゲーム目9−10での森薗のマッチポイントを跳ね返し、驚きの初優勝!

森薗が2ゲームを先取し、序盤は森薗のペースで進んだこの試合。互いにサービスのコースはミドルからフォア前が中心。特に及川は先に森薗をフォアに動かしてから、バックを突いてバック対バックで優位に立ち、チャンスを作る展開に徹していた感があった。しかし、森薗はその及川の戦術を読み、バックハンドで狙い打つ。森薗のバックハンドに強烈な回転はないが、微妙にタイミングが変わり、球質も一定ではない。及川にとっては逆に対応が難しい。

及川が3ゲーム目を返すも、4ゲーム目は10−9での森薗の2回目のゲームポイントで、及川のバックへのコース取りを読み、森薗が回り込んで全力強打。及川に粘られるも、必死の攻撃で打ち抜き、ゲームカウント3−1と優勝に王手をかける。

及川のバックへのコース取りを読み、両ハンドで狙った森薗

準々決勝の張本戦、準決勝の吉田戦に比べると守勢に回るプレーが多く、やや精細を欠いていた及川。しかし、次第に思い切りの良い両ハンドドライブが増え、5ゲーム目は11−9で及川が奪う。

勝負の大きな分かれ目は6ゲーム目。森薗が5−1とスタートダッシュ。6−3から及川が6−6と追いつき、また森薗が9−6と突き放せば、及川が9−9に追いつく。無観客試合なのが惜しまれる、手に汗握る展開。ここで及川の対チキータのフォアストレートへのフォアドライブがオーバーし、大きく吠えた森薗がチャンピオンシップポイントを握る。

6ゲーム目に10−9で森薗がマッチポイント

あと1点で雌雄は決する。この場面を優勝インタビューで振り返った及川は「最後は守って終わりたくなかった。攻めたボールがコートに入ってくれて、そこからまたチャンスがあると逆境を切り開けた」と語った。フォアドライブの打ち合いを制して10−10に追いつくと、次球で森薗のフォアサイドを切るサービスを、なんとサポートを迂回させる「横入れ」のフォアドライブで得点。「特に狙ってやったボールではない。自分でもちょっとビックリしました」と本人は言うが、あと1点、2点で負けるという場面で何という強心臓か。

6ゲーム目を12−10と逆転で奪った及川。7ゲーム目は森薗を中盤で一気に突き放し、10−4。最後は森薗のバックドライブがミスとなり、決着。及川は一拍置いて、自分の優勝を確かめるように人差し指を突き上げた。女子シングルス決勝に続き、互いに死力を尽くした素晴らしい一戦だった。

「守って負けたら後悔する」と開き直った及川。森薗から主導権を奪い返した

自らの優勝を確かめるように、ゆっくりと人差し指を突き上げた及川

関連する記事