卓球王国 2024年4月22日 発売
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インタビュー

コーチに雑誌編集、協会理事にゆるキャラまで。すべては惚れ込んだ大阪で、卓球人の笑顔のために

●コーチ兼『TAMA』編集長、協会理事、青年部会…止まることを知らない行動力

 こうして脇村がオーナーを務める「HPC西ナンバ卓球センター」で働き始めた小寺だが、1年ほど経ち、卓球場の経営にも慣れてお客さんも増えてきた頃、脇村にひとつのお願いをする。それは「雑誌をやりたい」ということ。「ローカルな情報を深く掘り下げて、関西の卓球人に楽しんでもらいたい」と、関西の卓球情報に特化した雑誌を作りたかった。

 脇村の了承を得ると、2012年から『関西卓球情報誌TAMA』を年4回刊行。内容は関西期待のジュニア選手や名物マスターズプレーヤーのインタビュー、関西学生リーグや大阪オープンなどの大会報道、関西で活動するチームやコーチの紹介など関西一色。時には街のオープン大会にまで取材に出向く。コーチとして卓球を教えながら、各地へ出向いての取材に、写真撮影、誌面の編集まで小寺が自らこなしているが、カメラや編集ソフトの使い方、誌面の作り方もコツコツと自分で勉強して身につけた。創刊当初は関西各地の卓球ショップに赴き『TAMA』を置いてもらえるよう交渉し、だいぶ苦労したと語るが、現在ではすっかり関西に定着している。

2012年の『関西卓球情報誌TAMA』創刊号。表紙は当時女子日本代表監督も務めていた日本生命・村上恭和総監督

 

 「どんなちっちゃい雑誌でも、載った人はうれしいと思うし、そうやって関西の卓球人に喜んでもらえる雑誌を作りたかったんです。創刊の時に『すぐ止めたらみっともないから最低10年は続けること』って脇村さんに言われていて、今年で丸9年ですね。よく辞めずに続いてると思います(笑)。

 卓球教えながら雑誌を作るっていう、すごい特殊な形でやってるんで締め切り間際はけっこうキツいですね。とはいえ、雑誌の仕事って代わりを探すのも大変じゃないですか。誰かに『お金払うからやってくれ』っていうのもなんか違うなと。大変ではありますけど、関西卓球界の特色のひとつとして、やれるとこまでは頑張ろうかなと思ってます」

表紙には指導者から小学生プレーヤーまで、多彩な顔ぶれが並ぶ

 

 また、昨年度からは大阪卓球協会の理事も務める。大阪卓球協会前会長の辻裕が小寺の卓球教室に通っていた縁で協会の仕事を手伝うようになったのだが、辻が会長を退くにあたり、協会も若返りをしていこうという中で小寺が普及を担当することとなった。新型コロナウイルスの影響でなかなか事業を進めることができていないが、公認コーチと公認審判員の資格取得者を増やしていくことが主な任務だ。

 さらに、脇村の勧めで入った青年会議所からヒントを得て、大阪府内の卓球場で働く20~40代のプロコーチに声をかけて「大阪卓球青年部会」を結成。地域貢献活動の一環として、初心者や中学生を対象にボランティアで無料講習会を開いている。加えて、小寺のラケット好きもあり、タイの木工職人がハンドメイドで手掛けるオーダーラケット「SIAM」ブランドの日本での窓口に。過去には『卓球大使たまくん』なるキャラクターをプロデュースし、「ゆるキャラグランプリ」にエントリーしたこともあり、その行動力には驚くばかりである。

「SIAM」ブランドのラケット。すべてタイにてハンドメイドで作られている

卓球大使たまくん(右)は2014年世界選手権東京大会にも登場

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