この原稿を書いたら、「コーチライセンスなんて意味がない」「自由に教えて何が悪い」という反論を受けるだろう。
だが、あえて言いたい。日本卓球協会はコーチライセンス制度を整備すべきだ。それは子どもたちのために、そして将来の日本卓球界のために。
今の日本の卓球界では「私は卓球のコーチです」と言えば、誰でも卓球を教えることができる。教え方の上手い下手、説明のうまさ、もしくはその人の実績によって人気が出たり、認められたりする。
・・・・・・卓球王国11月号(9月発売号「クローズアップ」)より
全国で卓球場が増えている。それに比例するようにプロコーチも増えているが、そもそも卓球場を持たないコーチも日本には多くいる。特に、プロコーチでなくても、近年、中学校の部活動では顧問の先生だけではなく、いわゆる「外部コーチ」が現場で指導に当たっている。
ヨーロッパのほとんどの国ではS級から、A級、B級、C級というピラミッド構造でコーチライセンスが制度化され、講習を受けた人だけが指導をできるやり方になっている。日本サッカー協会も1993年にJリーグが創設されると同時に、コーチ教育、ライセンスを制度化している。
実は1992年に日本卓球協会はスウェーデンからコーチや世界チャンピオンを招聘し、各地で講習会を開き、スウェーデンの「コーチ教育」を学んでいたのだが、生かされなかった。今回、ヨーロッパ選手権で21年ぶりにスウェーデンが男子団体で優勝したが、人口900万人足らずの北欧の卓球チームが優勝できたベースには、英才を育てる「コーチ教育制度」がある。
独自のコーチライセンス制度を持っていない日本卓球協会には、この制度をぜひ実現してほしい。最新号の「クローズアップ」ではその提言をさせていただいた。
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