8月末からおよそ1カ月半の中断を経て、10月20日から再開されたTリーグ。中断期間に男子の于子洋(琉球アスティーダ)や馬特(木下マイスター東京)、何卓佳・張瑞(ともに木下アビエル神奈川)や孫銘陽(日本生命レッドエルフ)といった中国代表経験を持つ選手の参戦が次々に発表され、ファンを喜ばせてきた。
しかし、今週末の各地での開催を前に、各チームとも中国選手が一斉に帰国したり、チームに合流予定の中国選手が日本への渡航を断念する事態となっている。ベンチ入りする選手が足りなくなり、今日27日から青森で行われている全日本社会人選手権を急きょ棄権する選手が出るなど、各チームとも対応に追われている状況だ。
中国選手の一斉帰国は中国卓球協会からの指示によるもの。現時点でTリーグでは男女合わせて14名の中国選手が登録されており、リーグ全体に与える影響は非常に大きい。
中国では、12月4〜10日にITTF混合団体ワールドカップが四川省成都市で開催される。この大会は向こう5年間、成都市で行われる大型契約だが、男女各3名の出場選手には世界ランキングのポイントがつかないことや、移動も含めた大会日程の長さなどから、各国とも出場選手の調整が難航している。
日本もエントリーに向けて努力を重ねたものの、10月25日に出場をキャンセルする旨を中国側に伝えていた。今回のTリーグからの選手の引き揚げは、その対抗措置として翌26日から行われているものだ。中国の主要なライバルである日本の不参加は、大会のステータスに与える影響が大きく、中国卓球協会も強硬手段に出ざるを得ない国内事情もある。中国選手にとっても想定外の事態だろう。
中国選手のハイレベルなプレーを楽しみにしていたTリーグファンのためにも、今回の措置が一時的なものに終わることを願いたい。一方で、中国選手と契約するうえでは常に潜在的なリスクがあることを、各チームは忘れてはいけないだろう。
ツイート