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0.2㎜のこだわり。「コンボ」という第三の選択を 提示した『アルティウス』

 

ミズノが軽量で飛ぶ5枚合板『アルティウスST5』を発売した後、軽くて飛ぶ特殊素材ラケットの要望が選手から寄せられていた。そこで登場したのが『アルティウス』の「インナー」「アウター」「コンボ」の3種類。新しい種類、この「コンボ」とは何だろう? 再び、用具開発担当の樋口氏に聞いてみる。

樋口 木材構成でテストしていく中で、インナー(特殊素材が中心材に近い)を好まれる選手はそれで良いが、アウター(特殊素材が表面材に近い)のようなカンカン弾くのを好まれる人もいるけど、一番多かった声は「インナーのような木材に近い、つかむような打球感で、インナーよりは飛ばしたい」というもの。そこで木材の厚みを制御しながら、コンボに行き着いた。

──インナー(板厚5.6㎜)よりもアウターとコンボ(板厚5.8㎜)は0.2㎜厚くしていますね。

樋口 ラケットの振動数を計測し、適正化していく中で、全体の厚みの調整、積層間の厚みを調整をしました。アウターは表面から0.6㎜にはさみ、コンボは表面から1.2㎜、インナーは1.4㎜にアラミドカーボンを挟んでいる。そして、中心材はインナーが2.6㎜、コンボは3.2㎜の厚さがあります。実際には表面材の0.6㎜(コンボとアウター)を研磨するので、製造段階では相当の苦労がありました。試作を作り、振動数を計測しながら試作を繰り返していきました。

──重量は?

樋口 「アウターは85gで飛ばしたい」という要望があり、アラミドカーボンを表面に近づけた。アラミドカーボンよりももっと硬い素材はあったが、そうすると打球感が違ってくるし、軽くて飛ぶことを考えて、アウターはアラミドカーボンを表面に近づけています。

*天然木材を使用しているので重量の個体差があります

──インナー寄りではあるけれども、「コンボ」という新たな種類をミズノは提供した。

樋口 開発者として、インナーの打球感でより飛ばしたいという要求を「コンボ」という形で実現できたと思っています。テストする中で、同じ時期に『Q1』と『QQ』も開発しているので、必然的にそれらのラバーと『アルティウス』の相性は確実に良くなります。

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メーカーのエゴではなく、卓球を一生懸命やっている人の意見に耳を傾けた。グリップレンズが大きいと指の引っ掛かりが気になるというユーザーの声もあり、小さく薄いものに変えた。手間のかかる「コンボ」という商品を開発することで第三の選択としてユーザーの要望を開発につなげ、選択肢を増やした。

ユーザーに寄り添うラケット開発。「インナー」と「コンボ」の板厚の差はわずかに0.2㎜。しかし、この微小な差こそがミズノの挑戦であり、ユーザーから要望されたことへの回答だった。

ALTIUS INNER  アルティウス インナー

¥14,300(本体¥13,000)

天然木材5枚+アラミドカーボン2枚 重さ:約85g

グリップ:FL/ST ブレード厚:5.6㎜ 83GTT20127

表面材からアラミドカーボンまで 約1.4㎜

 

ALTIUS COMBO アルティウス コンボ

¥14,300(本体¥13,000)

天然木材5枚+アラミドカーボン2枚 重さ:約85g

グリップ:FL/ST ブレード厚:5.8㎜ 83GTT20227

表面材からアラミドカーボンまで約1.2㎜

 

ALTIUS OUTER アルティウス アウター

¥14,300(本体¥13,000)

天然木材5枚+アラミドカーボン2枚 重さ:約85g

グリップ:FL/ST ブレード厚:5.8㎜ 83GTT20327

表面材からアラミドカーボンまで約0.6㎜