卓球王国 2024年9月20日 発売
バックナンバー 定期購読のお申し込み
中国リポート

中国女子の五輪単2番手争い。王曼昱が五輪女王・陳夢を猛追

これから行われる『WTTチャンピオンズ仁川』『女子ワールドカップ』『サウジ・スマッシュ2024』の3大会で、海外選手に敗れた場合は優勝と同じポイントが差し引かれるなど、パリ五輪のシングルス代表2名の選考方式が改定された中国女子。

世界ランキングポイントに国際大会(個人戦・団体戦)での成績に応じて与えられるボーナスポイントを加えた「パリ五輪シングルス選考ポイント」は、シンガポールスマッシュの終了時点では下記のようになっている。「WRP:2024年5月14日時点で有効な世界ランキングポイント」「SBP:国際大会でのシングルスのボーナスポイント」「TBP:国際大会での団体戦のボーナスポイント」を示している。

1位 孫穎莎  21850
[WRP:6500 SBP:10250 TBP:5100]
2位 陳夢   11817  
[WRP:3657 SBP:2500 TBP:4300]
3位 王曼昱  11547
[WRP:4647 SBP:5500 TBP:1400]
4位 王芸迪   10777
[WRP:4527 SBP:4750 TBP:1500]
5位 陳幸同  5835
[WRP:2485 SBP:2750 TBP:600]

独走体勢に入っていた1位の孫穎莎は、シンガポールスマッシュの開始時点では2位以内が確定。2大会連続でのオリンピックのシングルス出場を確実なものにしていた。海外選手に敗れた場合のポイントの減点や、『サウジ・スマッシュ2024』を選考期間に含めることで、孫穎莎が3位以下に落ちる可能性が復活したが、李隼総監督の「今後は女子シングルスの二人目の代表争いがさらに熾烈になることを期待している」というコメントから見ても、孫穎莎は代表当確だろう。

そして李隼総監督の言葉どおり、俄然(がぜん)白熱しているのが2番手争いだ。ランキング4位だった王曼昱がシンガポールスマッシュの優勝により、世界ランキングポイント「+1790」、ボーナスポイント「+3000」を積み上げ、王芸迪を抜いて3位にランクアップ。2位の陳夢との差を270ポイントまで詰めた。次戦の『WTTチャンピオンズ仁川』の結果次第で逆転可能なポイント差だが、両選手の2番手争いは最終戦の『サウジ・スマッシュ2024』までもつれそうだ。

シンガポールスマッシュを制した王曼昱、表彰台で恒例の「自撮り」(写真提供:WTT)

また、新たに設けられた対海外選手の敗戦の規定(2023年5月以降で5敗以上)により、五輪シングルス代表の選考レースから脱落した王芸迪も、シンガポールスマッシュでは準優勝の好成績。2位の陳夢とは1040ポイントしか差がない。

選考方式が改定されたのは3月16日で、その時点で王芸迪はシンガポールスマッシュで準決勝に進出し、世界ランキングポイントとボーナスポイントを上積みすることは確実だった。「王芸迪のシンガポールスマッシュでの勝ち上がりを見て、選考方式を改定したのでは?」と穿(うが)った見方をしたくなるが、対海外選手の実績が代表選考において重要なのは事実だ。客観的に見ても、パリ五輪の代表は孫穎莎・陳夢・王曼昱の3人が順当。注目すべきポイントは陳夢と王曼昱のシングルス代表権争い、その一点に尽きるだろう。

陳夢・孫穎莎・王曼昱の最強トリオは、東京五輪(写真)に続いてパリ五輪の舞台に立つことになるだろう

続いて男子の五輪シングルス代表選考レースの状況もお伝えします。

関連する記事