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『ハモンド』21年の歴史と、13年ぶりの新作『Z2』誕生の経緯

ニッタクが誇る看板日本製ラバー『ハモンド』の21年の歴史と、新作『ハモンドZ2』誕生の経緯を、Nittaku×卓球王国 共同企画として、卓球王国2022年5月号(3月21日発売)に掲載した。その記事をここに紹介する。そして、この記事の続きである具体的な性能紹介については、4月21日発売6月号に掲載。あわせてご覧ください。

2001.10『ハモンド』……初代IEラバー。トップシートの合成ゴム比率を高めてエネルギーを集約。反発力・軽さ・快音で、中級から世界トップまでに支持されるベストセラーとなった。現在も人気が高い

発売から21年を迎える『ハモンド』。ニッタク(日本卓球)の日本製裏ソフトラバーの代名詞的存在は、2001年10月にリリースされた。その後、表ソフトを含めて6種類の商品を展開した『ハモンド』シリーズだったが、『ハモンドプロβ』以来、実に13年ぶりの新作となる『ハモンドZ2』が、2022年6月1日にリリースされる。

ニッタクが社運をかけて開発し、試打でも高評価を得ているというこのラバー。今回はニッタク商品企画部部長・松井潤一氏に取材し、『ハモンド』の歴史を追うとともに、13年ぶりの新作を発売するに至った経緯を聞いてみた。

日本卓球㈱ 商品企画部部長 松井潤一さん

 

合成ゴム比率を上げて徹底的に反発力を追い求めた

『ハモンド』は、IE=エネルギー集約型ラバー第1弾としてリリースされた。「卓球ラバーの原料は、かつては天然ゴムが主体でした。合成ゴムを配合することで、弾力を上げることができますが、合成ゴムを増やすとラバーが脆くなるため、従来は20〜30%しか配合できなかった(トップシート)。しかし配合の技術革新により、合成ゴム比率を60%まで上げても耐久性を確保できるようになった。この技術を採用した最初の『IE(Integrated Energy)』ラバーが『ハモンド』です」(松井氏)。

発売されたのは、ボールの直径が38㎜から40㎜に変更された翌年であり、より弾むラバーが求められたタイミングで、『ハモンド』は軽くて弾むラバーとして瞬く間にベストセラーとなった。また、当時はスピード増強接着剤(スピードグルー)の全盛期で、当時のトップ選手のほとんどが使用していた(現在は使用禁止)。『ハモンド』はスピードグルーの効果も高く、また打球音が心地良い点でも中級から世界トップ層まで人気を博した。

そして翌02年7月には『ハモンドプロα』がリリース。『ハモンド』のスポンジは硬度30(ドイツ基準で40度)だったのに対し、スポンジを約5度硬くするとともに、トップシート表面の引っかかりをアップ。世界チャンピオンも使用するラバーとなった。

2002.07『ハモンド プロα』……ハードスポンジと引っかかりの良いトップシートを組み合わせたプロ仕様の『ハモンド』。世界チャンピオンをはじめトップ選手に愛用された。現在は廃番

一方、同時期にニッタクは、ドイツ製テンション系裏ソフト『モリスト』シリーズもリリースしている。特に『モリスト2000』は、中級層やレディース層に人気となった。「トップ選手や上級者は日本製『ハモンド』シリーズをグルーイングして使用し、中級者はドイツ製の『モリスト2000』をノングルーで使用という構図が見られた時代でした」(松井氏)。

03年1月には表ソフトにIE技術を採用した『ハモンドFA』がリリース。そして05年10月に登場した裏ソフトの新作『ハモンドX』が、さらなる弾みを実現した。「かつてのスポンジは天然ゴム主体だったのに対し、『ハモンド』『ハモンドプロα』では合成ゴムを50%配合。さらに『X』では70%と配合比率を高めることに成功し、弾みはさらに向上しました。当時、画期的な反発力として話題を呼びました」(松井氏)。

2005.10『ハモンドX』……スポンジの合成ゴム比率を極限まで高め、圧倒的な弾みを実現。中国代表などトップ選手が使用。「ベストギア・オブ・ザ・イヤー2006」裏ソフト部門大賞。現在は廃番

その後、08年9月からスピードグルー等によるラバーの後加工が禁止に。これを受け、IEに加えてAC(Active Charge/グルー効果内蔵)技術を採用したのが、09年10月登場の『ハモンドプロβ』だ。同時に表ソフト『ハモンドFAスピード』も発売された。

2009.10『ハモンド プロβ』……ノングルー時代に登場。IEに加えてAC(グルー効果内蔵)技術を搭載。『ハモンド』シリーズにスピードグルーを使用したような打球感を実現した。現在は廃番

 

“落ちない”日本製ラバーの最高峰を、社運をかけて開発

以上の流れを見ると、ニッタクが日本製裏ソフト『ハモンド』で追い求めたのは、常に「反発力の向上」だったことがわかる。その間にグルーが禁止となったが、ラバー自体の持つエネルギー効率を向上させて反発力を高める開発が常に進行し、結果として市場に受け入れられていった。

しかしノングルー時代に突入し、ラバー市場の動向は変わっていった。「2010年にドイツ製スピン系テンションの『ファスタークG1』を発売。トップ選手が使用し、ベストセラーになりました。代わりにニッタクの日本製裏ソフトは、徐々に初・中級向きという位置づけにシフトして行きました」(松井氏)。

しかしニッタクは、『ファスターク』の成功の陰で、トップ選手が使える日本製裏ソフトの開発を水面下で進めてきた。「開発が具体的な形になってきたのは20年に入ってからです。そこでは、『ハモンド』シリーズの進化の過程で一貫して求めてきた反発力に加え、特に『ボールが落ちない』という要素を徹底して求めてきました」(松井氏)。そして技術革新により、従来トップ選手が使用していた『ハモンド』が現代の要望に応える形で完成した。

「商品名については、反発力の向上をコンセプトとして進化してきた『ハモンド』の系譜にあたり、その知名度が高いため、そしてかつて『ハモンド』を使用していたトップ選手に使ってもらいたいという思いがあったため、『ハモンド』の新作として発売することにしました。完成形という意味で『Z』。そして開発時に8種類の粒形状を試していた中で、2番目のタイプを採用したことから、『ハモンドZ2』と名付けました」(松井氏)

社内の開発陣、試打対応スタッフ、そして多くの試打選手や指導者。従来のラバー開発と比べ、遥かに大掛かりな「チームニッタク」として、時間と手間をかけて開発した結果、多くのトップ選手・上級者が「これなら使える」という一枚に仕上がったという。ニッタクが自信を持ってリリースする『ハモンドZ2』。より具体的な性能については、次回(卓球王国2022年6月号掲載)で見ていくことにする。

 

継承と革新
13年の時を経てNEWハモンドが登場!

2022.06.01『ハモンドZ2』……ボールが「落ちない」ことを重視して完成した、ニッタク日本製ラバーの最高峰

ニッタク×卓球王国共同企画『ハモンドZ2』記事

★ニッタク渾身の日本製裏ソフトラバー『ハモンドZ2』の性能に迫る

★ハモンドZ2 &トップラバー ブラインド試打動画を公開!