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【アーカイブ】ロゼナ「テナジーへの橋渡しをするラバー」(大澤社長)

●―卓球王国WEBの用具ランキングでも、かつてはトップ10に『テナジー』が4つも、5つも入っていたのに、今(3月時点)では「05」と「64」だけになっています。いくら利益率が良くても販売数量は減っています。だからこそ『ロゼナ』が登場したと見る人もいます。
大澤 オープン価格の導入で国内でのテナジーの販売数量は落ちていますが、逆に海外では伸びています。日本から流出していたテナジーが相当数あったからです。
『ロゼナ』は『テナジー』の落ち込みを補完した製品ではありません。「他社の商品のボリュームゾーン、もしくは市場のボリュームゾーンがこの値段(5000円前後)だから、『ロゼナ』をぶつけます」という意味合いではなく、『テナジー』の購入が難しいと感じているユーザーに、テナジー系の打球感を体感してほしかった。
結果として価格は5000円となりましたが、これは製造原価を考えてギリギリのところです。他社を意識したというよりも『テナジー』の入門用ラバーとして市場に提供したかった。
当社はマーケットイン(市場や購買者という買い手の立場に立って、買い手が必要とするものを提供)が苦手で、あまり成功した事例がない。今回の『ロゼナ』は、もともと持っている技術を生かしたプロダクトアウト(技術や製造設備といった提供側からの発想で製品開発・生産・販売を行う)を考えて、開発、販売につなげた製品です。

●―『テナジー』は初心者から中級者までも使っていますが、それらのユーザーをも『ロゼナ』が取り込んでテナジーの販売量が減るという危険性もあります。
大澤 そこを全く考えていないわけではありません。『テナジー』はロングセラーになってほしい。当社が蓄積した性能の分析データに基づいて、『テナジー』には若干劣るものの、『テナジー』と打球感が類似した『ロゼナ』の性能をどの辺にもっていくのか。そこには時間をかけ、工夫をしました。トップ選手が感じているテナジーの良さを残しつつ、『ロゼナ』の価格帯での性能の案配には工夫をしましたし、『ロゼナ』は『テナジー』への橋渡しのラバーです。カニバリゼーション(自社製品が、他の自社製品を侵食してしまうこと)が起こる心配はしていません。
『テナジー』も今までのように、もしくは今まで以上に使っていただいて、『ロゼナ』は『テナジー』への橋渡しとして新たな需要が生まれるのが理想的ですね。

●―なぜオープン価格にならなかったのですか?
大澤 オープン価格に関しては今も検証しています。小売店の方々が売りにくいということでご批判もあり、社内では今でも議論を続けています。今回『ロゼナ』は上代(小売価格)をつけて販売することになりました。

●―小売価格をつけたことで、『ロゼナ』も以前の『テナジー』のように世界市場で買い付けられるようにはなりませんか?
大澤 『テナジー』で苦労したので、価格の付け方や卸値の研究を重ねて、その問題が起きにくいような形で流通させるようにしました。製品が市場に出たら私たちの手を離れてしまうので、『テナジー』の時のような事態が起きないように注意を払っています。

●―今後、シリーズ化されますか?
大澤 今の時点では未定です。『テナジー』をシリーズものとして発売しているのは、性能のタイプの差をトップ選手に使い分けてもらう目的です。

●―今のままでは品薄感はありますね。
大澤 そうですね。必死に作っています。今回みなさんに『ロゼナ』の良さ、そしてそこから『テナジー』につながる打球感を感じてほしいですね。                      
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『ロゼナ』は思惑通りというか、思惑以上に売れているのかも。
『テナジー』は実勢の市場価格では8000円前後で売られており、『ロゼナ』は販売価格が4500円前後なので、3千円以上安い。まさに『テナジー』には手が出ないが使いたい人はまず『ロゼナ』を購入。しかし、用具ランキングなど主要ショップの売れ方を見ると、『テナジー』への入門ラバーと言うよりも実際にはそのままリピートしているユーザーがいるから、常に用具ランキングで上位に入るのではないだろうか。
しかも、本体定価5000円という市場のボリュームゾーンに突き刺さったラバーと言えるだろう。

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