卓球王国 2021年10月21日 発売 vol.295
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水谷隼全インタビューvol.3「その言葉のすべて」2008年全日本2連覇

五輪アジア予選は、絶対通過したい。

自分の中では絶対勝てると思っているので、不安はないです

0−2でリードされた準決勝の田㔟邦史戦。3ゲーム目も10−11とリードされたが、そこから見事な逆転勝ちを収めた

 

世界のトップ選手に勝てるのは

まぐれではなくて自分の実力で

勝てるようになってきていると

実感しました

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17歳という若さと勢い、そして意外性。昨年の水谷の優勝はセンセーショナルだった。しかし、その優勝は偶然ではなく、この才気あふれる選手のプロローグでしかないことを今回の優勝は証明した。その戦う姿勢にはある種の風格さえ漂わせている。

今、中国選手を倒す可能性を秘め、世界の頂点に近づける逸材と水谷を評する海外のコーチは少なくない。それが過大評価でないのは、この1年間の彼の活躍を見ていれば理解できる。

そんな大いなる可能性を秘めた水谷隼が来シーズン、ブンデスリーガでのプレーを拒絶した。彼が選んだのは日本の明治大への進学だ。現在の彼を育んだのは、間違いなく4年間プレーしたドイツのブンデスリーガだった。しかし、あえて彼は世界最高峰のプロリーグに背を向け、国内での練習を選んだ。その理由とは……。

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不安はないです。

卓球では自分さえしっかりしていれば、

指導者や環境というのはあまり関係ないと思います。

どんどん強くなれると思います

 

●——前回の優勝から今回の優勝。この1年間を振り返った時の自己評価は?

水谷 この1年間は今までずっと頑張ってきた卓球生活の中で一番成果が表れた年だった。インターハイで三冠取ったし、全日本でも二冠取ったし、国際大会でも活躍できた。1年前の全日本選手権で優勝できてすごく自信がついて、そのあとの世界選手権で格上の選手を倒すことができて、その頃から世界のトップ選手に勝てるのはまぐれではなくて、自分の実力で勝てるようになってきていると実感しました。そのあとも格下に負けることもなかったし、格上の選手に勝つたびに自分の実力が上がっていると自信が持てた。自信が持てたことで、試合中に余裕ができて、ふだんどおりのプレーができるようになったんです。

 

●——技術的にはどの部分が良くなったのだろう?

水谷 サービスですね。サービスとそこからの展開のバリエーションが増えたし、レシーブも同じでバリエーションが増えた。卓球はほとんどが3球目とか4球目で決まるので、その部分がこの1年間で強化された。

 

●——10月からのプロツアーは五輪出場をけて、かなりきつい戦いだったと思うけど。

水谷 プロツアーもたくさんあって、その中でブンデスリーガをやっていて、成績も良くなかった。それで観客からのブーイングや、チームメイト、コーチからもいろいろ言われました。特にプロツアーの成績が良かったから、ブンデスリーガの結果が悪いと余計にクラブから言われて苦しかったです。どうしてもオリンピックのことを考えて、プロツアーに集中するから、連戦になるとどれだけ頑張ってもブンデスリーガで負けることもあった。結果が大事なところだから、負けるといろいろ言われた。

 

●——最終的には世界ランキング29位であと一歩のところで五輪への自動出場枠を逃した。

水谷 1年前が94位でそれが29位に上がったことには満足しているけど、オリンピックのために動いてくれた日本卓球協会や宮崎監督には申し訳なく思っています。

 

●——3月にはアジア大陸予選が控えている。

水谷 絶対通過したい。自分の中では絶対勝てると思っているので、不安はないです。勝って予選を通過したかのような余裕を持っています。

 

●——北京五輪はどんな大会にしたいのだろう?

水谷 今まで小さい頃から卓球をしてきて、自分の経験や練習で学んだことをどれだけその大会で発揮できるのか、挑戦したい。

 

●——アテネ五輪の時には?

水谷 青森でテレビを見てました。この舞台でやってみたいと思いました。でもそこでやるだけじゃ意味がない。やって勝たないと意味がない。自分だけが満足するんじゃなくて、やってメダルを獲ることで、まわりの応援してくれた人に恩返しもできる。

 

●——その前に広州での世界選手権がある。前回のブレーメンの団体戦では故障もあり、満足にプレーができなかった。

水谷 最近は自分の思ったようなプレーができるようになっているので、自分のプレーを広州でも出したい。

自分が理想とするプレーの90%はできていても、試合で負けたくないと思って緊張したりするとうまく出せない。精神面がまだまだ。緊張した場面でも自分のプレーができなくてはいけない。

 

●——上のランカーに対してこうすれば勝てるという策があるのかな。

水谷 そういうのはないけれど、バックハンドをもっと強化できればいい。

 

●——春から明治大に進学するけど、多くの人がこのままドイツで練習して、ブンデスリーガでやるほうがいいのでは、と見ている。なぜそういう選択をしたのだろう?

水谷 ドイツでは生活するのでいっぱいいっぱいで、卓球をするまでいかない。もっと卓球だけに集中する環境がほしかった。ドイツでの生活はとても苦しくて、これからの卓球人生にこの経験を生かしていきたいです。

 

●——でも、大学行ったら授業もあるし、卓球だけに打ち込めない環境なのでは?

水谷 そんなことはないと思います。卓球をする時間はわからないけど、ドイツではチームメイトともうまくコミュニケーションが取れないし、いつもは岸川さんや(高木和)卓さんと一緒に生活していても、二人がいない時にはひとりだけになって、そういう時には卓球に集中するのも大変になります。

 

●——練習相手での不安は?

水谷 不安はないです。卓球は個人競技なので自分さえしっかりしていれば、指導者や環境というのはあまり関係ないと思います。どんどん強くなれると思っています。