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水谷隼「何とか歴史の扉をこじ開けたいという気持ちはありました」

準々決勝・香港戦の4番で相手エースの黄鎮廷を破った水谷

 

「ボールが台から出るか出ないのか、

というハーフロングのボールの

判断がとても難しかった」

 

倉嶋洋介監督の念が通じたのか、グルプリーグを全勝で通過し、第2ステージ(決勝トーナメント)でのドロー(抽選)で中国と反対側のブロックに入った日本。この時点で決勝進出へグッと近づいたが簡単にはいかない。

水谷は、準々決勝の香港戦ではトップで何鈞傑、4番で黃鎮廷に勝ち、2勝をあげ、エースとして日本を準決勝に導いた。

◇◇◇

●――チームはグループリーグを全勝で抜けていったけど、ドローは気になった?

水谷 気になりましたね。ドローの結果は夜に監督からLINEで送られてきました。

 

●――中国と反対側に入ったけど、すぐ下に香港が入った。

水谷 香港とはみんなやりたくなかった。でも準々決勝の香港に勝てれば、フランスには勝てると思っていたから、香港戦がヤマになると思っていました。

 

●――香港のエースの黃鎮廷は嫌な相手だったのかな?

水谷 黃鎮廷には1勝1敗だった。やりづらいですね。強いと言うよりもやりづらい相手ですね。

 

●――トップで香港の若手の何鈞傑と対戦。

水谷 とにかく台や照明、風に慣れなかった。この準々決勝から台が移動したけど、そうしたら打球感まで変わってしまった。また一から感覚を取り戻さなければという難しさがありました。プレーは相当悪かった。

 

●――そして、2番で吉村が黃鎮廷に逆転勝ち。

水谷 その試合はベンチにいて大体見てました。黃鎮廷の調子は相当良かった。吉村が勝ったけれども、「自分の今の調子じゃ勝てないな」と思いました。

 

●――香港は丹羽に唐鵬をぶつけて、黃鎮廷で2点取るというオーダーを組んでいた。3番の丹羽は完敗して、4番の水谷対黃鎮廷に回ってきた。

水谷 (丹羽の敗戦は)早かったですね。15分か20分で回ってきた。4番が始まって、出足であまりチキータされなかった。もちろんチキータされないようなサービスを出していった。相手の長所を封じるように進めたのはうまくいきました。

 

●――試合後のコメントでは、「3ー2で勝つような戦術を使った」と語っていた。1ゲーム目を落としているけど、相手の何を探りながら進めていたんだろう。

水谷 台の弾みです。

 

●――えっ? その前に試合をしていたのに?

水谷 逆によくわからなくなった感じでした。イメージが悪かった。本当に1番の時は自分のプレーはひどかったけど、相手もひどかった。その時と同じプレーなら黃鎮廷には勝てないと思っていた。自分の中では、自分の狙ったところにボールを飛ばしたいという感覚があるのに、そこに飛ばす感覚をつかむことを1ゲーム目にやっていた。照明は気にならなかったけど、風と台の弾みが気になった。ボールが台から出るか出ないか、というハーフロングのボールの判断がとても難しかった。

3ゲーム目の中盤くらいからはいけるかなと思ったので、3ゲーム目を落としたけど慌てることはなかったですね。

 

●――「ラストまで行った時に日本はどうなるだろう」と試合中でも考える?

水谷 考えますよ。最終ゲーム、5ー8でリードされた。8ー8から10ー9とマッチポイントを取ったけど、 台上で浮いたハーフロングのボールを攻められなくて10ー10になりました。10ー11と逆にマッチポイントを取られて、そこでチキータをされたけど、何とかカウンターで入れて11ー11に持っていけた。次をドライブレシーブで決めて12ー11にして、何とか勝てた。あの状況で勝てたことでひと皮むけた感じはありますね。昔の自分ならすねて負けたでしょうね。

 

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