<卓球王国2023年6月号より>
とにかく「落ちない」。思わず試打の感想から書き始めたくなるくらい、この『ブルースター A1』(以下『ブルースター)』を初めて打った時は軽い衝撃を受けた。
あくまで中級者の感覚ではあるが、上回転のラリーではネットミスを恐れる必要がないので、常に「真上」からボールを打っていける。そして相手に『ブルースター』を使ってもらうと、ドライブの引き合いではコートでバウンドした時にボールのキックが強く、襲いかかるように伸びてくる。
ドニックジャパンの瀧澤光功さんも、「ボールの上がり方がこれまでのラバーとは全然違う。上級者が最大の回転量を追求するラバー」と語る『ブルースター』。「個人的にも試打してビックリしたのは久しぶり。このラバーは性能のアップデートがすごいです」(瀧澤さん)。
『ブルーストーム』『ブルーグリップ』『ブルーファイア』と「ブルー」を冠した裏ソフトラバーが揃うドニック。『ブルースター』は粘着テンションのシリーズである『ブルーグリップ C2』をさらに進化させたラバーだ。名前だけ見るとブルーの「沼」に呑まれて見過ごしてしまいそうになるが、それはもったいない。
愛知工業大に進学した昨夏(2022年)のインターハイ3冠王、鈴木颯(はやて)選手も両面『ブルーストーム Z1ターボ』から、両面とも『ブルースター』に変更。「弧線が作りやすく、自分が伝えたいパワーを存分に発揮できる」と語る。
「そのパワーにプラスして、微粘着の特徴を生かしたクセのあるボールを作りやすい。相手にとって嫌な攻撃ができるラバーだと思います」(鈴木)
鈴木選手の語るとおり、いかにも「粘着らしい」クセも感じられる『ブルースター』。下回転のボールを打つ時はパワーが必要だが、面を開いて強くミートするように打つと、破壊力満点のボールが打てる。
各メーカーとも粘着テンションのラインナップが充実する中、確固たる存在感を示す『ブルースター』。この新星が放つ光は強烈だ。
ドニック
ブルースター A1
●粘着テンション裏ソフトラバー
●¥9,460(税込) ●厚さ:MAX・2.0㎜
●スポンジ硬度:52.5度 ●カラー:レッド・ブラック
●イルマソフト㈱ スポーツトレーディング事業部
04・2936・4441
photo >> Yoshinori Eto
text >> Taro Yanagisawa
ツイート