WTTチャンピオンズ横浜2025。日本のエース・張本智和が、男子卓球界の現世界王者・王楚欽を撃破する歴史的快挙を成し遂げた。
会場は日本国内でありながら、王楚欽を応援しようと多くの中国人ファンが詰めかけ、まるでアウェーのような雰囲気。
その熱気と圧力を真正面から受け止め、張本は堂々たるプレーで観客を魅了し、見事な勝利を掴み取った。
⚫︎男子決勝
張本智和(日本) 4 (9,5,8,-9,-11,4) 2 王楚欽(中国)
「ありとあらゆる戦術を駆使した。監督やコーチの助言を実行できたことがうれしい」と張本。
この日、代名詞であるチキータをあえて序盤は封印。「最初から使っていれば相手に慣れられていたかもしれない。使わなかったことで相手が戸惑ったと思う」と、王楚欽を撃破した戦略を明かす。
試合中も二度、三度と戦術を切り替え、王者の牙城を崩した。
わずか2週間前、USスマッシュでは0-4で完敗を喫したばかり。それだけに、この勝利は本人にとっても格別だった。
「一度勝ったことで次にやりづらいという印象を与えられた。今後にもつながる」と、表情には自信がにじむ。
第5ゲーム途中には、立ち上がる際に膝をひねりメディカルタイムアウトを要求。「最後まで行ったら危ない状態だった」と説明しつつ、「使ってはいけないとは思わないが、服の着替えなども含めてルールの在り方は考えるべき」と提言。今大会での大きなインパクトを残した、試合中のタイムアウト制度については、卓球界で今後の議論が必須だろう。
試合後、岸川監督と固く抱擁。「監督就任からまだ数カ月だが、昔からアドバイスをもらってきた。少しは恩返しできた」と語る。
そして次戦への決意も明確だ。「今回の優勝を必ず糧にして、スウェーデンでも再び優勝する。」。
横浜での世界王者撃破―。
会場を包んだ熱狂は日本中へと広がり、張本智和はその中心に立っていた。地元開催のWTTを、これ以上ない形で締めくくり、観客の心に深い余韻を残す。試合後の彼の視線は、すでに次なる舞台へと向かっている。
(文:楊彩乃)
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