中国から飛行機で約6時間。乗り継ぎを経て東京へ、そして地下鉄で会場まで――。そこまでして彼女たちが会いに来たのは、「ハリー」こと張本智和だった。
WTT横浜、会場では多くの中国人ファンが待ち望む一戦―孫穎莎 vs 大藤沙月が始まろうとしていた。
しかし、その熱戦直前に席を立ち、会場を後にする三人組の若い女性たちがいた。
「私たちは張本智和のファンです。前の試合で向鵬に勝ったのを見届けたので、満足して帰ります」
彼女たちのバッグには、所狭しと自作の「張本グッズ」が飾られていた。中にはサイン入りのキーホルダーや、日本語が書かれたオリジナルグッズまで。
バッグには自作した応援グッズが並ぶ。まるでアイドルのライブのようだ。
「とても情熱的で、ハンサムで可愛くて、私たちにとても優しい。それに、誰に対しても敬意を持って接してくれるんです」。
張本智和を”推す”理由を尋ねると、迷わずそう口にした。どんな相手と戦っていても、コートの外では常に礼儀正しく、温かい笑顔を見せる―それが彼の魅力だという。
三人が張本を応援し始めたのは昨年。きっかけはWTTチャンピオンズ重慶大会での出来事だった。
「私はその時、大学生でボランティアとして大会に参加していました。最初は張本のことを知らなかったんです。ただ、初めて見たときに“なんてハンサムなんだろう”と思って。その上、とても丁寧に、優しく接してくれた」。
そこから彼への関心が高まり、パリ五輪の試合も欠かさず応援した。
「彼の経験は、私たちの人生をより良く生きるための力を与えてくれます」。
取材した中国人ファンが張本に声援を送った「張本 vs 向鵬」
ただのスポーツ選手としてではなく、その歩みや生き方そのものが、彼女たちの原動力になっている。
孫穎莎 vs 大藤という注目の一戦を背に、彼女たちは迷いなく会場を後にした。
(楊彩乃)
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