3月18日の日本卓球協会理事会でパリ五輪代表選考基準に変更がないことが発表された。
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パリ五輪選考基準については、「ITTFに出していた質問の回答が来たため、選考基準案を出して、承認いただいた」(馬場美香氏・強化本部長)。従来の選考基準から変えることは選手にとって大きな混乱を招くということで、選考基準に大きな変更はないとのこと。選考基準については、3月20日(月)に日本卓球協会のウェブサイトに掲載される予定だ。(卓球王国WEB3月18日より)
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予想通りである。すでに当事者である選手や関係者は強行スケジュールを強いられている。世界ランキングは参考にせず、日本国内での選考ポイントでパリ五輪代表、シングルス2名を決め、3人目は協会推薦となっている。
今年は、5月の国内選考会と、世界選手権ダーバン大会、Tリーグ個人戦、Tリーグ、アジア選手権、アジア競技大会、Tリーグ、秋のパリ五輪国内選考会2大会、来年1月の全日本選手権が選考対象大会として控えている。(中国トップ3に勝ったときのポイントも含む)
これに加えて選手たちは世界ランキングを獲得、もしくはエントリーしないとペナルティを加えられるイベントもあるので、WTTの試合にも出ていく。
この過密スケジュールはすさまじいものだ。また以前から卓球王国が指摘してるように、Tリーグという競技方式の違う試合の勝利をポイントを加算させるために、選手への負担がさらに大きくなっている。中には海外でしっかり練習をしてレベルアップしたい選手でも、選考ポイントのために日本のTリーグに参戦せざるを得ない人もいる。
私は覚えている。
東京五輪の代表レースでも、丹羽孝希と水谷隼、石川佳純と平野美宇が最後の最後までシングルス枠をめぐりデッドヒートを続けた。決まったあとに選手たちに話を聞くと、「体はボロボロ、コロナのせいでオリンピックが1年延期になってよかった。体を回復させることができたから」と口々に語っていた。
前回の五輪の選手の状況は反省点として強化本部にはあがっていたと思うが、その時の反省は全く生かされていないようだ。今回のパリ五輪代表はその時よりもはるかに過酷なのだから。
パリ五輪に向けての強化ではなく、トップの選手たちはいかに代表権を勝ち取るのかに集中している。
シンガポールスマッシュで他協会のコーチと話をしても、彼らは日本独自の選考方法をすでに知っていて、「ありえない」と首を振る。
選手への負担を軽減する「改善方法」はなかったのか。
選考基準の変更による混乱を招くことを回避したかった強化本部は、なぜ「選手の体とメンタルへの負担」を回避させずに、選手たちが練習をやり込まなければいけない時間を奪うような選考基準を変更できなかったのだろう。
卓球ファンともども、選手たちが怪我や故障をせずに代表レースを乗り切ることを祈るしかない。(今野)
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