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インタビュー

東京オリパラでVPMの大役、世界の人たちと笑顔でコミュニケーション

 東京五輪の卓球のテレビ中継で、選手を誘導するこの人の姿を目にした方も多いのではないだろうか。東京五輪・卓球競技の会場である東京体育館で、カメラマンによる写真撮影の仕切りやサポートを行う『VPM(ベニュー・フォト・マネージャー)』として活躍した温田哲亮。

 卓球界では「ニッタクの温さん」のほうが通りがいいだろう。『ニッタクニュース』の編集部に在籍した経験を持ち、全国の大会や卓球チームを取材し、顔の広さは卓球界でも随一かもしれない。卓球王国編集部のスタッフにとっても昔からの「馴染(なじ)み」である彼が、東京五輪では大会スタッフとして奮闘した理由とは?

 

撮影時のルールについて説明する「フォトブリーフィング」を行う温田さん

 

-まず、東京五輪でVPMとして働くことになった経緯を聞かせてもらえますか?

温田哲亮(以下:温田):2018年2月頃に知り合いの(東京2020)組織委員会の方から、「オリパラ(オリンピック・パラリンピック)の期間中、手伝ってほしいことがあるんだけど、期間中空いてる?」と連絡をいただきました。「ついにオフィシャルカメラマンの依頼が来たか」と思って喜んでいたら、「違うよ、カメラマンを管理するほうをやってほしいんだ」と言われました。それがVPMという仕事だったんです。

 

-確かに温田さんはこれまで大会の写真もずっと撮ってきたし、卓球のこともよく知っている。

温田:VPMもその競技のことを知っている人がやるのと、全然知らない人がやるのとでは、IF(国際競技連盟)との関係性が違うみたいです。私は世界選手権でもカメラマンをやらせていただいてますし、ITTF(国際卓球連盟)の方々とも知り合いです。フォトポジション(カメラマンが写真を撮る場所)の調整なども、「いつもはこんな感じで…」というようにITTFやべニュー(会場担当)の方々とも話が通じやすいですから。

 

-オリンピックの運営に関わることができるのは、一生に一度の経験かもしれません。話を聞いた時はどう感じましたか?

温田:すぐには返事はできなかったけど、うれしかったですよ。一方で、「本当にぼくでいいのか」という思いもありました。周りも私がそんな大役を務めるとは思っていなくて、東京体育館では知り合いによく「ボランティアで来てるんですか?」と声をかけられましたね。選手たちもビックリしていましたけど、「温さんが仕切るなら安心できます」と言ってもらえました。

 

-ただ、温田さんには会社(日本卓球株式会社)での仕事があります。会社の理解なくしては、VPMの仕事も実現しなかった。

温田:打診を受けてからすぐ、北岡功社長(現会長)や今村均取締役部長(現社長)に相談して、「君の今後の卓球人生、プラスになるのならいいよ」と背中を押してもらいました。それは会社にとってもプラスになるだろうと。大会前の研修が6月24日に始まって、6月28日から9月5日まで東京体育館で仕事をすることになるので、休職扱いでVPMとして働くことになりました。2カ月以上休職することになるわけですけど、それから会社に戻ることについても、快く了承してもらいました。

 

-内々の打診はあっても、正式にVPMの内定を受けたのは面接の後ですよね?

温田:そうですね、当初は2020年に東京五輪を開催する予定だったので、内定したのは2019年ですね。組織委員会の方々と5人対1人で面接を受けて、「これまで何の競技の運営をしてきましたか?」と質問されても、「大会への取材には行っています」と答えるしかないし、「それで大丈夫ですか?」と相当ツッコまれました。なんとか内定をいただいて、2019年の『JA全農 2019ITTFチームワールドカップ』の時に、卓球競技のスタッフの方々を紹介してもらいました。これまでにも大会で何度も顔を合わせている皆さんだったので、安心感はありました。

 

-温田さんはご両親が中国人で、中国語が話せるのは強みですが、VPMに内定して組織委員会から求められたことはありますか?

温田:卓球界は中国語が共通語みたいな部分があるので、「中国語が喋れるのは大きい」と言ってもらいましたけど、やはり「英語はしっかりやってください」と言われました。外国人とコミュニケーションをとるうえで、必要不可欠ですから。個人的に海外旅行が好きで、前から教材を使った英会話の勉強はやっていたので、それに加えて英会話教室にも通いました。

 

表彰式を撮影するカメラマンに対し、入場順の抽選を実施

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