全日本実業団選手権の女子は25チームがエントリー。そのうち、1週間前の前期日本リーグで優勝したサンリツ(東京)を始め、デンソー(静岡)、愛媛銀行(愛媛)と強豪チームに棄権が出る中、中国電力と昭和電工マテリアルズの2強が順当に勝ち上がり、決勝で対決した。
●第2ステージ準々決勝
中国電力(広島) 3-0 百十四銀行(香川)
鹿児島相互信用金庫(鹿児島) 3-1 四国銀行(高知)
NTT東日本 東京(東京) 3-2 豊田自動織機(愛知)
昭和電工マテリアルズ(茨城) 3-1 広島日野自動車(広島)
●準決勝
中国電力 3−1 鹿児島相互信用金庫
成本 −5、4、−8、−11 田中○
○中森 3、8、5 柴田
○成本・井 4、6 中村・田中
○井 −9、−11、7、9、16 中村
昭和電工マテリアルズ 3−0 NTT東日本 東京
○牛嶋 5、5、8 鈴木
○奥下 1、−4、8、6 小室
○奥下・山本 10、−6、9 小室・柴田
●決勝
中国電力 3−2 昭和電工マテリアルズ
○成本 9、−10、4、−9、5 田口
木村 4、−11、−6、−10 牛嶋○
○成本・井 1、−7、7 奥下・山本
井 −4、−9、7、−9 奥下○
○中森 13、12、8 平
第1シードの十六銀行が第1ステージで4位敗退になる波乱が起きる中、中国電力は準々決勝で百十四銀行にストレート勝ちすると、サンリツとデンソーが棄権になったパートを勝ち上がってきた鹿児島相互信用金庫と準決勝で対決。
トップでエースの成本が田中に敗れたが、2番で四天王寺高卒のルーキー、中森が柴田をシャットアウトしてチームに流れを引き戻す。4番で井が苦手のカット型の中村に苦しみながらもゲームオールジュースで勝つと、意外にも中国電力は同大会で初の決勝に進出(これまでの最高は3位)。
反対側のパートは、第2シードの昭和電工マテリアルズが危なげなく勝ち上がり、決勝は中国電力と昭和電工マテリアルズの日本リーグチーム同士の対決になった。
ルーキーの中森が決勝点を上げる
優勝を決めて笑顔でベンチに戻る中森
試合は両チームが一歩も譲らずに2−2でラストへ。ラストは中国電力が中森で昭和電工マテリアルズは平。どちらも大学進学はせずに高校卒業から実業団チームに入って腕を磨く道を選んだ選手だ。
試合はバック側に表ソフトを貼る中森が、ナックル系の重いバックハンドで平を攻め、打ちあぐんだところを威力のあるフォアドライブで狙う展開になる。平も足を使って中森の変化攻撃をフォアドライブで攻めたが、競り合いながらも要所で中森が強気のプレーを見せてストレート勝ち。
昨年度で宋恵佳、庄司有貴の2人が抜けた穴を新人の中森を含む、選手全員がカバーして、新チームになってうれしい優勝を手にした。
成本(左)と井のダブルスは決勝で逆転勝ち
今大会は単複に起用された奥下
中国電力、和田圭輔コーチのコメント
「優勝できたことはうれしいですが、サンリツさん、デンソーさんという優勝候補が棄権していた中だったので、最後に勝ててほっとしています。準決勝までは(大会前に)予想していたチームとは違った相手との対戦になり、そういう中で勝ち切ることができて『ほっとしている』という意味です。
準決勝の鹿児島相互信用金庫さんは普段やっことがないチームで、相手に向かって来られた時に、こちらが強気になって挑戦者の気持ちでやらなければいけないという今後の課題をもらいました。
決勝のオーダーはほぼ外しましたね(笑)。去年よりも戦力が落ちて、オーダーも読まれやすい中で勝てたことが大きいです。決勝は1番で成本が田口に勝利したことと、ダブルスが3ゲーム目に1−5から逆転できたのが良かった。ダブルスは戦術は変えずに自分たちのやることを貫き通したことを評価したいです。
中森は前期日本リーグでもサンリツ戦の5番で勝っていた。あまり物怖じしない選手なので、(今大会で)ラストに起用できると思っていました。四天王寺高という強豪校で鍛えられてきたものが大きい、すごいなと感じています。
うちは前期日本リーグと実業団でまだ優勝できていなかったので、前期はなんとしても優勝したいと挑みましたが3位。この実業団を取りに行くという中で勝てたことは会社に良い報告ができます」
新チームになって実業団選手権を初優勝。残るタイトルは前期日本リーグだけだ
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