平野美宇 -8、6、5、7、5 デヌッテ(ルクセンブルク)
大藤沙月/横井咲桜 5、6、5 マチウニナ/ブラテイコ(ウクライナ)
張本智和 7、6、1、-14、3 林鐘勲(韓国)
張本美和 8、15、-9、9、7 ペソツカ(ウクライナ)
女子シングルスでは平野がルクセンブルクのデヌッテと対戦。いきなり第1ゲームを奪われる波乱のスタートだったが、2ゲーム目以降は落ち着きを取り戻して勝利。
「やっぱり世界卓球の独特の緊張感があって、私のいつも出だしが良くない部分が出てしまったな、という気持ちはあった。(2ゲーム目のタイムアウトではコーチから)あまり急がず落ち着いてやればいいよと言われたので、強さとかではなくコースなどを意識しました。完璧かはわからないけれど、まずは勝つことが大事なので、そこはクリアできたかなと思います」(平野)
珍しく前髪を上げていることについては「気合いもですけど、負けることより嫌なことって、おでこを見せることだなと思って、だから先に見せれば何も怖くないなと思った。ちょっとイメチェンしました(笑)」とコメント。
中澤監督からのアドバイス(?)でもあったという、ニューヘアスタイルで逆転勝ちの平野
今回は残念ながら怪我で欠場となった大ベテラン倪夏蓮(ニー・シアリエン)との名コンビでも知られるデヌッテ。平野から1ゲームを先取し、実力のほどを見せた
大藤/横井ペアはウクライナペアを寄せつけずに完封し、次戦へコマを進めた。
そして、男子シングルスは注目の一線となった張本智和対林鐘勲(イム・ジョンフン)。通算戦績では負け越している張本だったが、序盤から攻めまくり、1ゲームは落としたものの終わってみれば戦前の周囲の心配が嘘のような快勝だった。特にバックハンドのライジングをとらえたカウンターが冴えわたり、この大会に向けた調整の万全ぶりが見て取れる圧巻の内容だった。
「すごく良い1戦目だったと思います。今まで大舞台で対戦したことはなかったので、ツアー中の対戦(成績)はお互い調整不足の中で試合をしているので気にせず、今大会は3週間以上(準備の)時間があるので、ここはしっかり自分との実力の差を出せるかなと思いながらも油断はせず、1ゲーム目から入りました。(勝因の)一番は、出だしですね。1ゲーム目を取れたっていうのはすごく大きかった。試合中は全く、勝ちそうとか次に進めそうとか考えず、ただ目の前の1球だけに集中しているので、1ゲームごとですら考えていないというか、1本1本、1打1打くらいの気持ちなので。そこは全く、邪念はないと思います」(張本智和)
決定率抜群だったバックハンドのライジングカウンターを連発し、林鐘勲に満足なプレーをさせなかった張本。1ゲームは落としたが、完勝といっていい内容だった
一つひとつの質問に言葉を選びながらしっかり答えていた張本。準備の充実ぶりがうかがえる試合内容とインタビューだった
張本の充実したプレーになかなか勝機を見出だせなかった林鐘勲だが、その中でも第4ゲームを奪い返した執念は見事だった
続く女子シングルスでは智和の妹・張本美和が登場。ウクライナの大型選手ペソツカの正確かつ緩急を織り交ぜたプレーにかなり苦しんだものの、勝負どころでは思い切りを発揮して競り勝った。
「これくらい苦しい戦いになるっていうのは想定していました。自分より身長が高くて体格が大きい中でミスもしないし、強く打てば勝てるっていう選手ではないなと試合前から思っていた。正直この初戦、自信があまりなかった。動画を見たイメージがすごくやりづらそうな相手だったので、本当に勝ちきれてうれしかったです」(張本美和)
4ゲーム目の10-9から出た大胆なスマッシュ攻撃については「あのときは咄嗟(とっさ)でしたけど、最近の練習で、ペソツカ選手と当たるのが決まった時に、本当にミスの少ない選手だから、ずっと同じ技術をやっていてもきっと慣れられてあんまり得点できない時には、リスクを負ってちょっと違うナックルのボールを打ってみたりとか(していた)。ちょっと意識していたくらいだったんですけど、自分もあそこで出てびっくりしました」とコメントしてくれた。
「本当に試合前の準備が良かったと思います。もし、絶対勝てるみたいな気持ちで行ったら負けていたかと思います」(張本美和)
戦前の大方の予想を大きく上回る白熱したゲームとなった張本−ペソツカ戦。世界ランキングだけでは測れない怖さが世界卓球にはある
堂々たる体躯と安定した両ハンドで張本を大いに苦しめたペソツカ。日本の卓球ファンにも鮮烈な印象を残しただろう
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