ひと言で言えばバランス
硬い粘着性ラバーを使う中国選手は
軟らかめの木材ラケットや特殊素材ラケットを使うし、
ラバーが軟らかいなら、ラケットは少し硬めでもいい。
ほとんどの選手はラバーを中心にして、ラケットの組み合わせを考えますが、
表ソフトを使う選手はラケットの打球感を重視しますね。
最終的に行き着くところは一緒。
慣れたら元の用具に戻ります。
やりにくさは感じますが、あまり神経質にならないほうがいいですね。
第一印象がすごく大事。
最初に打った時に「ダメだな」と感じたら、いくら使い続けても良くならないんです。
だから1球目に集中します。
基本的にはフォアハンド、バックハンド、ツッツキ、
ツッツキ打ち、ブロック、サービス、レシーブの7つの項目です。
その中で、思ったとおりの回転量やスピードを出したい時に
イメージどおりに飛ばせる、感覚と一致するものを探していく。
また、卓球は相手のいるスポーツなので、
同じ7つの項目を相手にやってもらって、それを取ることも必ずやります。
女子選手はラケットの重量に気を配らないといけません。
最近のスピン系テンションは重いので、接着剤でのわずかな重量の増加も抑えたい。
いろいろ試した結果、一番膜ができにくく、ラケットが重くならないのは
ヤサカの『のり助さん』。業務用で大量に購入します。
『テナジー』ほど軽くて弾むラバーは他にはないですね。
バランスに富んでいて、守った時も打った時も性能を発揮する。
他のドイツ製ラバーより軽いので、重量面でも合わせるラケットの選択肢が多いラバーです。
『テナジー』の性能を生かし切れないからです。
球離れが結構早くて、その中で回転がかかるので、
特にサービス・レシーブでは、コントロールする前にボールが飛んでいってしまう。
『テナジー』を使いこなすなら、『テナジー』で卓球を始めれば
それで初期設定ができますが、経済的には厳しいですね。
(2018年時)2年生の桑原穂実は、コントロール性能とブロック・ツッツキなどの守備の感覚に非常にこだわります。振り切れる重量にも注意し『スウェーデンカーボン』(スティガ)を使用中です。卒業生の平真由香・田口瑛美子・牛嶋星羅(15年インターハイ団体3位)の3人もこだわりがすごかった。
言われた用具だけ黙って使う選手はトップにはいけない。
用具への繊細なこだわりが、卓球に対するあらゆる分野へのこだわりにつながる。
用具にこだわらない選手、用具を大事にできない選手は絶対に強くなれません。
卓球は用具のスポーツと言っても過言ではないほど、用具が変わるとプレーが変わる。
用具に興味を持ったり、いろいろな用具を試してみるのはすごく良いことだと思います。
その中で本当に良い用具と巡り合ってほしいですね。
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同じペンドライブ型の金擇洙(韓国/92年バルセロナ五輪銅メダル)もラケットには相当こだわっていました。大会では常にラバーを貼ったラケットを4~5本用意していましたね。
彼のこだわりは、まず私と同じように打球感とイメージした飛びが一致するもの。そして重量ですね。100gもある桧単板ラケットを使っていたけど、100gの単板はなかなか見つからない。私は90~92gのラケットだったので、彼が軽くて使えないものをもらったりしていました。(平)
卓球のシューズは、トップ選手になるほどピッタリのサイズのものを履きます。特注で左右のサイズが違うものを履く選手もいます。
一方で、高校1年で正智深谷高に入学してくる選手は、不思議なことに必ず0.5~1.5cmくらい大きいシューズを履いています。「実際のサイズより大きいシューズを履くのは、自分を大きく強く見せたいという心理の現れ」だと言った人がいますが、なるほどと思いますね。シューズの履き方は非常に大事なので、靴ひもをつま先のほうからキッチリ締めていく履き方を必ず最初に教えています。(平)
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