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水谷隼「ジュン、その言葉のすべて」 2007年全日本初優勝。全インタビューvol.1

高校2年生とは思えない、巧みな戦術とインサイドワークを見せた

 

田崎戦は、気持ちとしては自分が負けた、というような試合でした。

だから開き直って、「自分は一度負けたんだから」というように、

この大会をいきなり決勝からスタートする感覚でした。

 

 

ミスが少なくて、自分も楽しくて、

観てもらっている人にも楽しい卓球をしたい

 

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2年前にドイツで取材して以来のインタビュー。その時と比べるとずいぶんしっかりと話すようになった。優勝直後のインタビューや、そのあとの記者会見でもずいぶんしっかりコメントしていたのが印象的だった。「しゃべることを準備していたのかな」と聞くと、「全然考えてなかった。アドリブです」との答え。言葉を見つけ、しっかりと話すことができるのは、この17歳の少年が自立心を持ち、自我に目覚め、技術だけでなく、精神的にも強くなったことを示している。

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●——全日本選手権で優勝して、2日経ったけど、優勝を実感することってある?

水谷 全然ないですよ。新聞見て、「アッ、載ってる!」と思って、うれしかった。そのくらいです。まわりもふつうに「おめでとう」「よくやった」という感じですから。あんまり実感ないです。これで青森に帰って祝勝会があれば別ですが、すぐにドイツに戻るわけですから。

 

●——史上最年少というのは意識したのかな。

水谷 それはありました。やっぱり伝説の選手になりたかった。記録を残したかった。ジュニアと一般の両方で優勝するのは最後のチャンスだったし、モノにしたかった。

 

●——今回の君の優勝を、「水谷は中学からドイツに渡り、ドイツで仕込まれ、才能を開花させた」とか、「1年の半分は青森にいて、その青森でライバル関係にある同僚と切磋琢磨しながら力をつけた」と評する人もいる。

水谷 ドイツでは良い経験をさせてもらって、自分が強くなっていくこと、卓球が良くなっていくことが実感できた。いろんな選手がいるので学ぶものが多い。戦術とか、上の選手になればなるほど相手の回転を利用したボールがある。たくさん技がある中で、ブンデスリーガの上の選手はぼくができないすごい技を見せてくれるし、そういうのをの当たりにして「ああいう技術があるんだ」と感心する。練習自体はきつくないし、量もさほど多くないけど、相手も強い人が多いので、気が抜けない。結構疲れます。

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