ラケットのグリップエンドに装着する、3g・6g・9gの3種類の「おもり」を付け替えることで、ラケット重量をカスタムできるという斬新なシステム、「CWT」(Custum Weight Technology)。六角形ブレード『サイバーシェイプ』で革新性を示したスティガが、2023年春に新たに打ち立てた斬新なシステムだ。この「CWT」は、発売が近づいている『サイバーシェイプ カーボンCWT』『サイバーシェイプ ウッドCWT』の2モデルに搭載される。
ここで気になるのが、ルール上の問題。上記のラケットはいずれもJTTA(日本卓球協会)で公認済みであり、もちろん公式試合で使用可能。また、ある試合で3gのおもりを装着してプレーした後に、次の試合で6gに付け替えてプレーするのも問題ない。
では、1試合の中(マッチ内)で、途中でおもりを付け替えることは、許されるのだろうか?
この点について「日本卓球協会 ルール・審判委員会」に質問をした。JTTAでは、ITTF(国際卓球連盟)にも確認を取りながら協議を重ねたうえで、卓球王国宛に以下のような回答を送っていただいた。
●質問
グリップエンドに取り付けられている金属商標をネジ式にして脱着可能にし、重量パーツとしてラケットの重量を変えることができるラケットが販売されています。(JTTA公認済み) このラケットの使用にあたり、マッチ中に重量パーツの脱着をすることはルール上、認められるでしょうか?●回答
このラケットはすでにJTTAで公認されているので日本卓球ルールに定められている要件を満たしています。
試合で使用するラケットについては日本卓球ルール2.4.2.3で「ラケットは、ラケットコントロール検査のすべての規定条件を満たすものとする」とされています。
ラケットコントロール検査に重量は含まれていませんので、他の規定条件に変更がなければ重量を変えることは支障なしと解されます。
また、日本卓球ルール2.4.2.4で「競技者は、1マッチを通してラケットを交換することはできない。・・・」とされていますが、ラケットコントロール検査の規定条件を変更しているわけではないので、ラケットの交換とはならないと解されます。
交換される場合は、ルール上、認められている休憩時間に主審の許しを得た上で、その監督の下、交換するようにしてください。
つまり、1試合の中でおもりを付け替えることは「OK」とのこと。ただし、いつでも勝手に替えて良いというわけではなく、ゲーム間の1分間の休憩時間など、ルールで認められている休憩時間内に、主審に許可を得て、主審の前で付け替えるとのこと。
日本国内においては、ラケットには商標と「J.T.T.A.A.」刻印(「日本卓球協会公認」の意)が必要と定められている。グリップエンドのおもりも「STIGA」の商標がついたパーツであり、その扱いは主審の監督下で行うべきという考え方だ。
実際のところ、1ゲーム目と2ゲーム目でラケット重量を変えることが、選手のプレーにとってプラスに働くことは、あまりないのかもしれない。しかし、ITTFとJTTAでは「あらゆるケースを想定して検討すべき」という見解で一致し、議論の末に指針が示された形だ。
『サイバーシェイプ』新製品と「CWT」については、卓球王国2023年5月号のグッズ特集「サイバーな革新。」でも詳しく取り上げている。
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