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カデット以来の全国優勝、4年生の田中佑汰が初の全日学王者!

滋賀・YMITアリーナで開催中の第88回全日本大学総合選手権(個人の部)は、10月23日に大会最終日を迎え、男女シングルスのチャンピオンが決定した。男子シングルスを制したのは愛知工業大4年の田中佑汰。大学1年時以来の全日本学生出場で、ついに頂点に立った。「全国大会での優勝はカデット(14歳以下)以来」という、久々の全国タイトルだ。準々決勝以降の記録は下記のとおり。

●男子シングルス準々決勝
横谷晟(愛知工業大) 8、5、3、2 加山裕(日本大)
田中佑汰(愛知工業大) 6、9、ー5、ー7、9、9 濵田一輝(早稲田大)
小野寺翔平(中央大) 11、6、ー11、ー7、7、ー5、8 谷垣佑真(愛知工業大)
松田歩真(明治大) ー7、5、ー10、8、6、9 原田哲多(法政大)
●準決勝
田中佑汰 3、3、7、ー9、3 横谷晟
小野寺翔平 6、9、6、10 松田歩真
●決勝
田中佑汰 ー7、6、11、6、ー6、10 小野寺翔平

男子シングルス優勝の田中佑汰。一昨年はコロナで中止、昨年はドイツ・ブンデスリーガ出場のために欠場。3年ぶり2回目の出場で頂点に立った

田中の勝ち上がりは安定していた。本人が勝ち上がるうえでポイントだったと挙げたのは、5回戦の手塚(明治大)戦と準々決勝の濵田(早稲田大)戦。手塚戦は両ハンドのミート打ちにもあわてず、逆に巧みな緩急でミスを誘って勝利。濵田戦はゲームカウント2−0から2−2に追いつかれ、苦しい試合展開だったが、俊敏なフットワークを見せる濵田の連続フォアドライブを両ハンドの攻守で封じた。

準決勝ではチームメイトの横谷に快勝し、迎えた決勝は小野寺(中央大)との4年生対決。中・後陣での驚異的な粘りを見せる小野寺に対し、サービスを出す位置や長短の変化をつけてからの速攻と、冷静なコース取りで攻略。先に10ー9でゲームポイントを取られた3ゲーム目を13ー11と逆転で奪ったことも大きく、久々に表彰台の頂点に立った。技術力の高さ、メンタルの安定感、攻守のバランス、どれを取っても日本ではトップクラス。この優勝でさらに高く、上昇気流に乗ってもらいたい。

バックサイドの攻守の安定性と緩急で、他の選手を上回っていた田中

★田中佑汰の優勝コメント
「もう大学4年ですし、今年はインカレでも負けてしまったので、今大会で優勝してもう一度ぼくら(愛知工業大)が一番だというところを見せたかった。個人の全国タイトルは今まで全日本カデットの14歳以下しかなくて、いつも準優勝や3位。今年は東海学生選手権でもしっかり優勝して、この大会でも優勝できたことは良かった。
今年は卓球に賭けている自分がいます。いろいろな刺激を受けて、自分が変わるきっかけになる年にしたいと思っています。昨年の全日本選手権にコロナで出られなくて、今年の大会でスーパーシードを獲得したいという思いもあったので、そういう意味でも優勝できて良かったです」

愛知工業大の森本耕平・男子監督とのツーショット。愛知工業大からの男子チャンピオン誕生は、1999年大会の真田浩二(現・愛工大名電中監督)以来、実に23年ぶり

また、準優勝の小野寺も大学最後の年に大健闘。驚異的なスタミナでコート狭しと動き回り、準々決勝では優勝候補の谷垣(愛知工業大)との大ラリー戦を制した。「大学に入学した時に全日学で優勝するという目標を立てて、最初は遠い目標だったけど、一つひとつ積み重ねてここまで来た」という本人のコメントのとおり、体格も以前よりグッとたくましくなり、学生卓球界でも指折りの実力者へと成長を遂げた。

猛烈なファイトと豊富なスタミナで、決勝へと駆け上がった小野寺翔平

準々決勝では谷垣(愛知工業大)を驚異的な粘りで下した

3位は世界選手権(団体戦)成都大会で日本代表としてプレーした横谷(愛知工業大)と、大健闘のベスト4入りを見せた松田(明治大)。横谷は成都大会後、全日本団体を経てこの全日学に乗り込む強行軍ながら、相手をねじ伏せるようなパワープレーで準決勝まで勝ち上がり、確かな成長のあとを見せた。松田は3回戦で岡野(朝日大)にゲームカウント1ー2の8ー10とマッチポイントを握られながら逆転勝ち。「相手より1本多く返すという粘り強さを出せた」と、中陣での粘りとフォアドライブ連打で勝ち上がった。

世界代表として、ひと皮むけた強さを見せた横谷。ハードなスケジュールの中でも3位に入賞

ベスト4に躍進した松田(明治大)。これを飛躍のきっかけにしたい

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