卓球王国 2022年11月21日 発売
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トピックス

このままで良いのですか!? 強化本部に「五輪代表選考基準」の変更を望みます

どこかおかしいぞ、五輪代表選考基準。
せめてTリーグの選考ポイントは
削除すべきではないか

 

卓球王国最新号の「クローズアップ」は「急啓 日本卓球協会御中」
という書き出しで始まった。

過去に卓球王国は、日本卓球協会の強化本部の方針、ナショナルチームの活動、選手選考方法、専務理事の突然の解任騒動などに、意見を呈してきた。時には協会の全理事(専務理事の突然の解任の際)にアンケートをして、決定の是非を問うてきた。
スポーツ競技の専門メディアには、協会の公認「おかかえ誌」として「協会スポークスマン」の役割を果たすものが多いのだが、25年前に創刊された卓球王国は「公認誌」(公認してもらう気もなかったが、協会も認めていなかっただろう)ではなく、意見をぶつけてきた。
一方、役員の方、事務方の人たちの活動も理解していて、その仕事には敬意を払っている。協会主催の事業やナショナルチーム関係だけでも協会スタッフのサポートは献身的だ。

今回、誌面を通して直言したのは、「パリ五輪日本代表の選考方法」についてだ。
誌面用の原稿を入稿した直後に行われた「全農カップTOP32船橋大会」で、協会の宮﨑義仁専務理事は「IOC(国際オリンピック委員会)が正式に追記したので、12月の理事会に協会本部から正式なパリ五輪代表の選考基準が上程されるだろう」と記者団に語った。
IOCの追記とは、「世界ランキングによって選ばれる資格のある選手をNOCが拒否した場合、割当(2名分)が満たされるまで、次の世界ランキング上位選手を選ぶというプロセスを繰り返す」という部分だ。
上程とは議案を理事会にあげ、承認を得るということだが、強化本部(馬場美香本部長)から正式な「パリ五輪代表の選考基準」を理事会で上程して、承認を得る見込みだ。

月刊卓球王国、卓球王国WEBでも再三再四、パリ五輪の日本代表選考方式の問題点は指摘している。強化本部が「代表選考基準の考え方」を作成したのは昨年の9月だった。その時点でWTTなどの国際ツアーが機能しておらず、またランキングの高いトップ選手が優遇される仕組みだったために、WTTをベースにした世界ランキングを代表選考基準からはずした。
以下がパリ五輪日本代表の選考ポイントの対象大会である。
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1 世界選手権個人戦
2 アジア競技大会
3 アジア選手権
4 五輪国内選考会
5 Tリーグ個人戦および、団体戦のシングルスとビクトリーマッチ
6 全日本選手権
7 国際大会シングルス種目で中国のトップ3選手を破った場合
以上の大会での順位に選考ポイントを与え、その合計ポイントで上位2名をシングルス枠に送り込むことになった。

また「WTTがすべての選手に出場基準が平等になれば、選考基準に組み入れることもある」
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と書かれている。(日本卓球協会・パリ五輪日本代表候補選手選考基準の考え方より)

 

世界ランキングを選考の指標に加え、
Tリーグのポイントを外すことを
強化本部に希望します

 

実際には、昨年秋以降、WTTは徐々に大会を増やしている。グランドスマッシュ・カップファイナルズ・チャンピオンズ・スターコンテンダー・コンテンダーなどは出場するうえでランキングの縛りがあるが、WTTフィーダー、WTTユースに出場し、ランキングポイントを積み重ねていけば、上のカテゴリーのWTTイベントに出場できる。そして、すべての国際大会は世界ランキングが「基準」になっている。
下のイベントでランキングポイントを積み重ねて、上のイベントに出る仕組みはテニスなどのツアーでも同じだ。強化本部が望むような「すべての選手に出場機会が平等になる」もしくは「協会が出したい選手が出場できる」ことは今後もないだろう。しかし、若手はWTTユース、WTTフィーダーなどの大会でポイントを積み重ね、ある一定のランキングまで上げれば、上のクラス(コンテンダー以上)に出場できるので、WTT側からすれば「公平性」を保っていると考えているのだろう。
いずれにしても、ワールドツアーからWTTにツアーのシステムが変わった以上、「以前のツアーと同じやりかた」は望めない。

昨年、協会が発表した「パリ五輪日本代表の選考方法の考え方」には看過できない部分がいくつかある。
コロナ禍で、WTTが機能してない状態が続いていれば理解できるのだが、ある程度、国際大会が開催されている状態で、なぜ修正、変更がなされなかったのか。
問題点として指摘したいのは以下の点だ。
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1 WTTが開催され始め、五輪を狙うようなトップ選手たちがWTTに参戦する中、もしくは若手がWTTユースやWTTフィーダーに参戦する中、世界ランキングがなぜ考慮されないのか。
2 中国のトップ3に勝つと選考ポイントが与えられ、しかもその対象にWTTの試合が入っているのは矛盾していないか(これは追加された基準だった)
3 Tリーグの勝利に選考ポイントが含まれる。選手への公平性と言いながら、日本リーグや学生リーグ関係者への配慮はなかったのか。
しかも、競技ルール(各ゲームでは10−10からのジュースなし。最終ゲームは6−6からスタート。ビクトリーマッチは1ゲームでの勝負)も違う団体戦のTリーグの勝利を選考ポイントとしてカウントするのは無理がある。
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特に卓球王国最新号(1月号)では、[3]について、「クローズアップ」で記述している。

選考基準の中に組み込むことと「Tリーグの活性化」は切り離してほしい。最近のTリーグは「選考基準」に頼らなくても、独自で各チームが観客を増やし、お客さんに楽しんでもらう工夫や努力をしている。
このまま「選考基準」の名のもとに五輪代表選考会やTリーグが進んでしまうことが怖くてしかたないのだ。

選手たちも一般のメディアも、そして一部の卓球ファンも、その「選考基準」の問題点に気づいているのだ。
強化本部には理事会への上程の前に、「選考基準」の内容の再考を望む。
これは批判ではない。お願いである。(今野)
(卓球王国最新号でも詳細を紹介)

 

卓球王国最新号・1月号のクローズアップ

 

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