卓球王国 2024年12月20日 発売
バックナンバー 定期購読のお申し込み
インターハイ2021

「120%以上」のベスト16。横浜隼人、敗戦の中で見せたチームの成長

 先ほど終了した女子学校対抗3回戦、その中で最後に決着がついたのが横浜隼人と遊学館のカード。1・2番を接戦で落とし、ダブルスも5ゲーム目に10-7でマッチポイントを握られた横浜隼人だだが、佐藤/武山が5本連取で逆転勝利。横浜隼人は4・5番に並べた1年生2人の勢いにかけたいところだったが、遊学館の地力に跳ね返され、ベスト16で姿を消した。

 

【女子学校対抗3回戦】

〈遊学館(石川) 3-1 横浜隼人(神奈川)〉

○高橋 -8、7、-8、10、7 武山

○牧野 10、-12、10、5 中村

 泉田/高橋 -19、6、-5、8、-10 佐藤/武山○

○泉田 4、4、8 遠藤

 

敗戦の瀬戸際から試合をひっくり返した佐藤/武山

 

 上位常連の横浜隼人だが、失礼ながら今年のメンバーは少々小粒。絶対的なエースもおらず、岸昌宏監督も「15年見てきた中でも実力的にはだいぶ厳しかった」と語る。それでも、2回戦では選抜ベスト8の浜松修学舎をストレートで下してベスト16に進出。試合後、岸監督は「本当に120%以上の力を出してここまでやってきてくれた」と選手たちをねぎらった。

横浜隼人・岸監督

 

 「今年は15年見てきた中で実力的にはだいぶ厳しくて、県内で負けるんじゃないかという中でやってきましたが、選手たちはこの半年間で本当に強くなりました。1年前ではインターハイで1勝どころか、県内でも負けていたかもしれない。本当に選手は頑張ったと思います。勝ってもう1回試合をやらせてあげたかったんですが、相手がいることなので、そこは実力が足りませんでした。でも、この子たちからしてみれば本当に120%以上の力を出してここまでやってきてくれたと思います。

 1・2番が良いスタートを切れたけど、最後に流れをつかめなかった。でも、いつもならそのまま0-3で負けたり、流れを手放してしまうところをダブルスがあれだけ頑張ってくれた。10点取られても諦めずに1本ずつ、最後までみんなで戦うという、ウチの戦い方が表現できたかなと思います」

 

 横浜隼人といえば、ベンチ、スタンドも一体となった息の合った応援もチームカラーのひとつだが、今大会は新型コロナウイルスの影響により、声を出しての応援はできない。その中でも、工夫をこらして一体感のある戦いを見せていた。

 「ウチなんかはギャーギャーやるのがカラーですし(笑)、それで勢いに乗ってやっていく部分もあるので悩みました。どういう形で試合をするというのは事前にわかっていたので、取り組んだのがインターハイを想定した団体戦の練習。声を出せない中でどうやって応援するか、戦っていくかを選手からもアイデアを出してもらって準備しました。声が出せないからプラカードを見せたり、いろいろな準備をしてきて、事前の準備はよく工夫できたと思います。ネガティブにとらえるんじゃなくて、その中で新しい発見をしようという気持ちで準備してきました」

 

 最後に「またイチから出直します」と語った岸監督。しっかりとした言葉で伝える、心のこもったベンチでのアドバイスはいつも印象的だ。試合後に選手たちのことを語る口ぶりからは心からの称賛が感じられた。

 いつもと違うインターハイの中でも、「隼人らしさ」を見せて戦い抜いた横浜隼人。惜しくもベスト8進出はならなかったが、この1年で培った実力以上の「強さ」を披露したその戦いぶりは見事だった。

関連する記事