インターハイ男子シングルス決勝は、愛工大名電3年の谷垣佑真と後輩で2年の吉山僚一による同士打ちになり、最後まで気迫のプレーを見せた谷垣が勝利。2017年大会の木造勇人(愛工大名電)以来の3冠王に輝いた。
富山県が発出した感染拡大特別警報により、大会最終日の8月17日は試合に出場する選手(男女シングルスベスト8)とその関係者だけが会場に入ることができ、それ以外は来場することができなかった。そのため連日に増して「静かなるインターハイ」の中、試合が行われた。
男子シングルス決勝は、豪打の谷垣が打ち切るか、オールラウンダーの吉山が試合を支配するか。対照的なプレーをする両者の決勝は、第1ゲームは吉山が台上を支配し、ラリー戦でもドライブと弾くようなブロックで谷垣を押し、11-9で先取する。
2ゲーム目も1ゲームと似た展開で進んだが、吉山の短いサービスに対してストップでレシーブしていた谷垣にチキータが増えてくる。吉山はストップ、チキータともにうまく対応していたが、チキータから大きなラリー展開になると球威で勝る谷垣に分が出ていた。それでも全体的にミスの少ない吉山が10-9とゲームポイントを奪う。それでも谷垣は攻撃の手を緩めることなく攻めて、14-12で逆転する。
勝負を分けたのは第3ゲームだ。谷垣はフルスイングの両ハンドで、唸りを上げるような低く鋭い弾道のドライブを打ち続ける。吉山も必死に返していたが、打球の質、威力が谷垣が勝り、11-8で奪うと、「第3ゲームを落としたことで、プレーは攻めていても、心は負けたくないと受け身になっていた」と試合後に吉山が語ったように、第4ゲームは吉山にミスが連発し、一方的な展開になる。谷垣は最後まで攻めのプレーを続けて、11-2でこのゲームを取り、三冠を決めた。
「名電のOBの木造さんが三冠を取って、三冠王になるためには心技体が揃っていないといけないと感じさせられたので、自分の最後のインターハイで三冠王になりたいと練習を休むことなくやってきました。それが今大会につながったと思います。
三冠王はあまりいないので、その中で自分がなったという実感は今もないんですが、良かったです。
技術的には前までは台上はストップが多く、下回転からの展開が多かった。今大会はチキータからの展開で攻めることができていたと思います。
(下がってもフルスイングには自信がある?)粘ってもいいんですけど、すぐに攻めたいタイプなので振ってしまいます。それが入ったらすごく得点で相手にも影響を与えることができるし、入らなくても自信を持って振れているという良い感じになれるので、そこは今大会で良い部分でした」(優勝後の谷垣)
インターハイに向かう道中、愛工大名電高時代に2冠(学校対抗、男子シングルス)を達成している今枝監督は選手たちに「悔しかったら俺を超えてみろ」と発破をかけた。優勝を決めた谷垣が今枝監督に最初に発した言葉は「先生を超えました!」という報告。「すごくうれしかったですね」と今枝監督は目尻を下げた。
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