11月25〜26日に「東洋大学 赤羽台キャンパス HELSPO HUB-3 アリーナ」にて「PIA株式会社 第15回全日本パラ卓球選手権大会(肢体の部)」が開催された。肢体不自由者の全日本として、クラス(障害の度合い)別に、男女シングルス、男女ダブルス、混合ダブルスが行われた(ダブルスは1種目のみ参加可)。各クラス(以下:C)のシングルスで優勝が、来年度のパラナショナルチーム入り、そして国際大会出場の切符を手にすることに繋がる重要な大会だ。パリパラリンピック出場を目指す岩渕幸洋(協和キリン)が右肩の故障により棄権したほか、何人かの棄権はあったものの、国内トップ選手のほとんどが出場し、ハイレベルな戦いが繰り広げられた。
アジアパラ競技大会での優勝により、日本勢でのパリパラ出場権獲得の第1号となった八木克勝(C7)は、バック面のアンチでの攻守からフォア強打に連係するプレーに磨きがかかり、他を寄せ付けない強さで連覇。東京パラリンピック代表の中村望(C10)と混合ダブルスでペアを組み、両者とも貫禄のプレーでシングルスと混合の二冠を達成した。75歳の別所キミヱ(C5)も怪我を乗り越えて、5人のリーグ戦で全勝優勝と、変わらぬ強さを見せた。
また、車いすの中でも最も障害が重度であるC1では、18歳の新星・四海吏登(しかい・りいと記事上部写真)が、5人のリーグ戦で全勝して初優勝。昨年まで2連覇中の島也博明から1ゲームを奪われたのみという、圧巻のデビューを果たした。四海は小学6年生でウェイクボードの史上最年少プロ選手になり、世界トップクラスで活躍をしていたが、21年6月に練習中の事故で首の骨折脱臼、頸椎損傷、肋骨骨折の大事故にあった。その後、リハビリの一貫として出合った卓球にはまり、今年6月に大阪の車いす卓球チーム「Fantasista」で本格的に競技卓球を開始。Fantasistaのメンバーの指導と、本人のたゆまぬ努力の末、わずか5ヶ月で日本チャンピオンに登りつめた。「優勝だけを狙ってきた。優勝はすごくうれしいけど、これで大きな目標であるロサンゼルスパラリンピックへ向けてスタートになるので、頑張っていきたい」(四海)。
パリパラを目指す日本代表選手が、それぞれの力を発揮する一方で、新たなスターも誕生した今大会。日本のパラ卓球界全体が、東京パラ後も前進を続けていることを印象づける大会となった。
各種目優勝者は以下のとおり。
●男子シングルス
C1:四海吏登(兵庫・Fantasista)
C2:宇野正則(滋賀・COSMO)
C3:北川雄一朗(兵庫・ドマーニ卓球クラブ)
C4:齊藤元希(東京・STEP IN)
C5:中本亨(静岡・ドマーニ卓球クラブ)
C6:板井淳記(大分・旭化成)
C7:八木克勝(愛知・愛知ファイヤーズ)
C8:佐藤泰巳(東京・東京身障卓連)
C9:阿部隼万(東京・キンライサー)
C10:舟山真弘(東京・早稲田大)
CS:上田大雅(福岡・FTT)
●女子シングルス
C2:西村亜佑子(熊本・熊本身障者卓球協会)
C3:藤原佐登子(静岡・アイリス)
C4:宮崎恵菜(鳥取・ドマーニ卓球クラブ)
C5:別所キミヱ(兵庫・ドマーニ卓球クラブ)
C7:角田セツ(神奈川・藤沢レディース)
C8:友野有理(東京・タマディック)
C9:石河恵美(神奈川・ラポール卓友会)
C10:中村望(千葉・花野井クラブ)
CS:青木佑季(東京・北卓会)
●男子ダブルス
C合計4以下:宇野正則/松尾充浩(滋賀・COSMO/大阪・ベリサーブ)
C合計8以下:中本亨/北川雄一朗(静岡/兵庫・ドマーニ卓球クラブ)
C合計14以下:金子和也/来田啓幹(東京・TMI総合法律事務所/大阪・大阪パラ卓球連絡会)
C合計18以下:阿部隼万/辻村琢光(東京・キンライサー/神奈川・ユナイトアンドグロウ)
●女子ダブルス
C合計5以下:高松海優/池山優花(兵庫/三重・Fantasista)
C合計10以下:田野倉祥子/須藤泰子(栃木・ディスタンス/茨城・茨城フェニックス)
C合計20以下:石河恵美/工藤恭子(神奈川・ラポール卓友会/熊本・熊本身体障害者卓球協会)
●混合ダブルス
C合計10以下:山本秀栄/勝田凛華(東京・東京身障卓連)
C合計17以下:八木克勝/中村望(愛知・愛知ファイヤーズ/千葉・花野井クラブ)
C合計20以下:高橋純平/山崎玉乃(静岡・SST富士山)
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