卓球王国 2021年7月20日 発売 vol.292
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アジア選手権代表選考合宿、男子は木造勇人ら4人に代表切符

6月20日、千葉・旭市総合体育館で行われていたアジア選手権日本代表選考合宿・男子は最終日を迎えた。朝10時から行われた準々決勝の勝者4名が、9月にカタール・ドーハで行われるアジア選手権の代表切符を手にした。主な結果は下記のとおり。

●準々決勝
戸上隼輔(明治大) 9、−10、7、7 水谷隼(木下グループ)
村松雄斗(東京アート) 8、−3、8、−12、5 英田理志(愛媛県競対)
木造勇人(愛知工業大) −7、−7、9、5、12 吉村和弘(岡山リベッツ)
篠塚大登(愛工大名電高) −8、−8、10、7、8 曽根翔(愛知工業大)
●準決勝
戸上隼輔 6、6、2 村松雄斗
木造勇人 −5、−5、5、9、8 篠塚大登
●3位決定戦
篠塚大登 キケン 村松雄斗
●決勝
木造勇人 10、−6、9、−10、8 戸上隼輔

今回の選考会に出場しなかった張本智和(木下グループ)は推薦でのアジア選手権出場となるため、張本・木造・戸上・篠塚・村松の5名がアジア選手権の代表に内定。辞退者が出た場合は、5位の水谷隼(木下グループ)、6位の吉村和弘(岡山リベッツ)へと繰り下がっていく。

今日の最大の注目カードだったのは、準々決勝の戸上対水谷戦。今大会の戸上のフットワークは抜群のキレがあり、試合後の水谷も「つなぐボールがほとんどない。すべてのボールをフルスイングに近い強打で狙ってくる」と脱帽。しかも上回転のラリーになると、強く弾いて打つ直線的な弾道のドライブになるため、フォアに打たれるとさすがの水谷もカウンターが難しい。

抜群のキレを見せた戸上のパワードライブ。「アジア選手権では絶対にテッペン取ってきます!」と心強いコメント

戸上は続く準決勝でも、カットの村松に勝利。「戸上は本当に動きが速いし、常にストライクゾーンでボールをとらえている。しかも弾いて打つ表ソフトのような球質なので、回転が利用できない。カットキラーだと思います」(村松)。ここまで快進撃を続けてきた村松も、この試合は完敗だった。

しかし、「ぼくがベスト4に入るとは、誰も思っていなかったんじゃないですか」という村松の代表権獲得は明るいニュースだ。2014年ユース五輪の銀メダリスト、あの樊振東(中国)と決勝で激戦を展開した男が、ここしばらくは左ひざの故障に苦しみ、成績が伸び悩んだ。すべり込みで出場した今回の選考会でのプレーはまさに鬼気迫るもの。準々決勝の英田とのカット対決では、4ゲーム目に10−8のマッチポイントを逆転されながらも最終ゲームで競り勝ち、拳を突き上げた。3位決定戦は左ひざへの負担も考え、残念ながら棄権となったが、「村松雄斗ここにあり」を久々にアピール。村松本人は「ジュニア時代は世界代表だったし、その時の輝きを取り戻したい」と語ったが、それを上回る強い輝きを期待したい。

英田戦で勝利してベスト4入りを決め、高々と拳を突き上げた村松

そして決勝。村松をノックアウトした戸上と、準決勝で篠塚大登(愛工大名電高)との左腕対決を0−2から逆転した木造勇人の対戦。勢いに乗る戸上が優勢と思われたが、木造は戸上のフォア強打に臆することなく、ナックルサービスとロングサービスで待ちをうまく外しながら、バックに打たれたボールはクロスへの鋭いバックカウンター。低くすべるような球質で、戸上の連続攻撃を封じた。

バックのカウンターが冴えた木造

4ゲーム目、木造が10−8でマッチポイントを迎えながら、戸上が12−10と逆転して最終ゲームまで持ち込んだが、最終ゲームも終盤でロングサービスを生かした木造が勝利。こちらも久々に存在感を示す優勝となった。

「選考会が始まる前に、今までにないくらい練習をしてきて、自分も楽しみにしていましたし、良い結果を残せて本当にうれしい気持ちです。最後まであきらめない気持ちはもちろんですけど、ラリー中でも我慢ができたし、試合後半の作戦がうまくいった。でも出足からどんどんリードしていかないと強い選手には勝てないので、それは今後の課題です。
これまで、結果が悪い時はネガティブな気持ちでプレーする時が多かったんですけど、今回はポジティブに、自分に自信を持ってプレーできたのが最大の勝因だと思います。ぼくはまだまだ世界では名が知れていない選手ですし、日本でも認められていない部分がありますけど、日本でも認められる選手になって、世界ランキングも上げて、認められる選手になって世界で勝ちたい。まずはアジア選手権で頑張りたいです」(木造)

優勝を決めた木造、ベンチに入った董崎岷コーチとガッツポーズ

東京五輪代表の水谷や丹羽、現・全日本チャンピオンの及川瑞基らが注目を集める中、戦前の予想とは違う顔ぶれがベスト4に勝ち上がった今回の男子選考会。10位までに入った選手は、今年10月から来年3月までのNT・NT候補選手となり、さらに9月に大分県杵築市で行われる世界選手権(個人戦)選考会の出場権が与えられるため、順位決定戦も熱のこもった内容だった。開催地の旭市や千葉県卓球連盟、審判団などの協力により、選手たちにとって貴重な実戦の場となったことは間違いない。

オールラウンダーとして抜群のセンスを見せた篠塚。「今後は攻撃力と、速い攻めの精度を磨いていきたい」と語った

アジア選手権への切符を手にした4名。本大会での活躍が楽しみだ