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王者、恐るべし。 水谷隼[対談アーカイブ]石川佳純

 

コーチの存在はとても大切ですよね。

私にとってコーチというのは

一緒に戦っていく仲間なんです(石川)

 

 

石川佳純は専属コーチ、専属の練習相手を揃え、「チーム・イシカワ」としてプロフェッショナルな環境を整えている。一方、水谷隼も専属コーチを持ちつつ、ロシアリーグで腕を磨いている。ナショナルチームにいながらも独立したプロ環境を整えているという点で二人は共通している。

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●--水谷選手の邱建新さん、石川選手の陳莉莉さんは同じ時期にコーチになっているけど、コーチの存在というのは二人にとってどれほど重要なのだろう。

水谷 若い時のコーチと現在のコーチというのは自分にとって全く違うし、自分が必要とするもの、求めているものも変わってきている。

日本にはあまり良い指導者がいない。日本の指導者は甘いし、努力が足りない。指導者になった時点であとは教えるだけで、そこからスキルを上げるという向上心が感じられない。海外の指導者は、指導者になった時点でゼロになって、そこから勉強してスキルを上げていく姿勢を感じることができます。

ぼく自身にコーチがいなかった時期に、(福原)愛ちゃんや佳純ちゃんには専属の練習相手がいて、専属のコーチがいることがとてもうらやましかった。ぼくは17歳で全日本で優勝した時から、技術的なことを日本の指導者に言われたことはない。「隼だったら何も言わなくても勝手に強くなるだろう」と思われていて、いつも自分の中でどうやって強くなるのかなと日々考えていた。そういう意味で、コーチがいることがうらやましかった。

石川 コーチの存在はとても大切ですよね。私にとってコーチというのは一緒に戦っていく仲間なんです。負けたら一緒になってその原因を探っていく仲間です。ジ

ュニアなどの若い時というのは、アドバイスをもらうだけだけど、社会人になって自分も成長していくと自分の意見も出てきます。だからお互いが勉強して、一緒に成長し、戦っていくという意識が強いですね。陳莉莉さん(元中国チャンピオン)は技術とメンタルの指導が半分半分です。「最後は気持ち!」とシンプルに言われます。

 

●--二人は世界ランキング5位だけど、トップランカーとしてコーチに求めるものは何だろう。

石川 私はまだまだ陳さんに教わることは多いですね。強かった選手でもコーチとしては別だと思います。選手として成績が良くても良いコーチになるとは思わない。私は今の自分のやっていることを言葉にできない。たぶん言うこととやっていることが違うと思うけど、陳さんはそれを言葉にできる人です。私がわかるように教えてくれるし、向上心もすごい。コーチになって終わりじゃなくて、一緒に成長しようという気持ちがすごい。

水谷 相談できる人がいるのはいいですね。試合が終わった後に、なぜ負けたのかを相談できます。ナショナルチームのコーチは多くの選手を見なければいけないけど、その点、専属コーチは自分だけを見てくれるので、納得するまで話し合えるのがいい。

 

●--二人とも卓球家族の中で小さい頃から育った選手ですね。

水谷 うちは超スパルタ(笑)。

石川 へえ、知らなかった。私は1日1時間半しか練習やらなかった(笑)。

水谷 語ることは別にないです。何か恥ずかしいです。

石川 スパルタの時期があったから今の水谷君があるんじゃないですか。

水谷 そういう簡単な話じゃない。トラウマになっているから。両親ともに厳しかったから。

石川 それは逃げ道がないですね。うちはどちらかと言えば母が厳しかったですね。子どもの頃はスイミングとかもサボろうとするじゃないですか。でも、母は妥協を許さない。引っ張って連れて行かれました。当時は父が逃げ道でした。うちは家族全員、卓球大好き。家族全員で王楠のビデオを観る、それが日課でした(笑)。

水谷 それはすごい。うちもスカパー契約して卓球チャンネル観てました。ぼくはおじいちゃんが逃げ道だった。

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