早稲田大学高等学院3年生
ひとりの高校生がインターハイの東京都予選を通過した。
舟山真弘、早稲田大学高等学院3年生。
文武両道を貫き、卓球に打ち込んだ結果、インターハイ出場を果たした。
舟山は幼少期に小児がんを患い、現在は装具で右手を固定してプレーする。
夢はパラリンピックでの金メダルだが、
その前に初の全国大会、インターハイがやってくる。
埼玉県さいたま市で生まれた舟山真弘は、4歳で小児がんの一種である「右上腕骨骨肉腫」を患い、1年2カ月間入院し、手術と抗がん剤治療を受けた。手術では利き手であった右腕の肩関節と上腕骨を切除し、足の腓骨の一部を移植した。
「病院での記憶は、抗がん剤の副作用とか辛いこともあったけど、同じ年くらいの子どもたちが病棟にいたので楽しく過ごした記憶もあります。体を動かすことは好きで、小学2、3年の頃に家族旅行の温泉で卓球をやって、サッカーとかバスケットボールもやっていたけど、卓球が一番おもしろいと思った。それが初めての卓球体験でした」
卓球は小学5年からTTC大宮で週1回の練習を始めた。6年の時から練習は週3、4回くらいに増え、試合に出るようになった。中国人コーチの張永尚には小学5年の秋から教わり、今もタクエツ卓球で同コーチから週1回の指導を受けている。
「中学時代の卓球の成績は?」と聞くと、「ほぼ何もない」という答え。中学3年の時、関東大会に出場したのが最高成績だ。そして、早稲田大に入りたいという理由で全国トップレベルの偏差値を誇る早稲田大学高等学院を受験し、合格した。
(中略)
「卓球をやっていることが生きるうえで一番のモチベーションになっていて、楽しいとか苦しいとか気持ちの変動があって、その揺れ動きが生きることのモチベーションかもしれない。卓球をしていないと楽しいと思えないし、卓球をすること、それは自分が生きているという意味です」
(続きは卓球王国9月号・7月21日発売号で)
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1月の全日本選手権ジュニアでも東京予選を通過していたのだが、大会直前に新型コロナに感染し、「初の全国大会」を経験できなかった舟山。
優秀な中学生をスカウトしながら練習に励む卓球名門校ではない。スポーツ校ではない環境の中、文武両道を貫き、高校3年で初ののインターハイ出場。加えて、右手にハンディキャップをかかえながらもインターハイ予選を勝ち抜くほどの実力。そのふたつの意味で、舟山真弘は注目に値する選手かもしれない。
7月29日に開会式を迎える夏のインターハイ。舟山にとって初めてで最後のインターハイがもうすぐ始まる。
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