WTTチャンピオンズ横浜で中国の新鋭・陳熠(チェン・イー)が見せたのは、プレッシャーを感じさせない伸びやかな戦いぶりだった。世界ランク2位・王曼昱との2回戦は、フルゲームにもつれ込む大接戦。その末に勝利をつかんだ。
「前回も競り合った相手ですが、今回は全く心理的な負担がなく、“思い切ってぶつかる”気持ちで臨みました」(陳熠)
序盤2ゲームを落としたが、内容には手応えがあった。
「戦術面では間違っていなかった。むしろ劣勢になってからは、攻撃の質を上げ、入るか入らないかのボールにも思い切っていった」(陳熠)
最終ゲームでは2–5、さらに7–10と追い詰められたが、ここからが真骨頂。「7–10でリードされたときに、逆に力が抜けました。サーブからの展開も迷いなく自分が信じたプレーをやり切れた」と振り返った。
試合中のタイムアウトでは特別な戦術変更はせず、「自分のプレーは間違っていない」と確認するだけだったという。プレー中も自分自身に声をかける姿が印象的だった。
「声に出さないと覚えられないんです。口に出すことで、自分への覚悟や集中力も高まります」(陳熠)
今回の会場で使用されているボールについては「まだ完全に慣れていないけれど、徐々に感覚をつかんでいるところ」と語った。
「無心で全力を尽くす」という彼女のスタイルは、接戦を制したこの日の試合にも如実に表れていた。次戦の相手が誰であろうと、「一歩も引かずに全力で挑む」と力強く言い切った。
●女子2回戦(ROUND16)
陳熠(中国)3 (−9、−8、10、9、10) 2 王曼昱(中国)
マッチポイント奪いながらも敗れた世界ランキング2位の王曼昱(中国)
ベンチではセルフトークで作戦を確認する陳熠(中国)は中国期待の若手
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