全日本は大会2日目を終えて、ジュニア男女のベスト16が決定した。全国各地から精鋭が集う全日本だが、地元・大阪勢も多数出場。そんな中、大阪生まれ大阪育ち、「なにわのど根性」で健闘を見せていたのが、上宮中2年の石山浩貴だ。
全日本ジュニアへの出場は前回大会に続き、2度目となる石山。昨日の1回戦では4点、3点でいきなり2ゲームを奪われながらも、ここから逆転で初戦を突破。今日の2回戦もフルゲームにもつれ、最後は13-11で逃げ切って3回戦進出を決めた。
3回戦の相手は、ここ数年着実に実力をつけている静岡学園高の板坂眞生。この試合もゲームを取っては取られの展開でフルゲームへもつれた。最終ゲームは9-10でマッチポイントを握られたが、そこから追いついて今度は11-10で石山がマッチポイント。しかしここで決めきれず、最後は11-13で敗れた。勝利まであと一歩に迫りながらも、わずかに及ばず、試合後は涙。「競ったところで1本が取れなかった。本当に悔しい」と石山。ベンチに入った父・義浩さんも「技術だけじゃなく、最後はメンタルだと思うので、そうしたところでもっと強くなってほしい。すごく課題が見つかった大会でした」と悔しさをにじませた。
義浩さんも、関西高から中央大でプレーした元選手。その影響もあって石山も幼稚園の年長から卓球を始め、義浩さんと二人三脚で力をつけてきた。 石山のプレーを初めて見たのは、2018年の全国ホープス大会。川嶋ジュニアのエースとしてチームを準優勝まで引っ張った。当時からしっかりとしたスイングで、力強さを感じるフォアドライブ連打、そして勝利に対するガッツが光っており、「良い選手だなあ」と思ったことを覚えている。現在は上宮中で練習しているが、家に帰れば義浩さんと一緒にYouTubeで卓球の動画を見ながら「このプレーおもしろいな」「この選手スゴいな」と卓球談義に花を咲かせているという。
義浩さん曰く、石山の性格は「自分に似ず、卓球に対してまじめ」とのこと。「ひとりでトレーニングに行ったり、授業が始まる前にサービス練習をしたり、親の私から見ても努力していると思います。やるからには、私よりも強くなってほしいし、目標は日本代表。世界選手権などに出てくれたらうれしいですよね」(義浩さん)
今大会を見てもそうだが、近年、日本代表クラスから、日本のトップ、全国で名の知れた選手など、レベルに差はあれど、元選手の子どもたちの活躍が目立っている。義浩さんも、そのひとりだが我が子と一緒に戦えることは何より楽しいと語る。
「中学進学で親元を離れて遠いところに行くケースもあると思いますが、ウチは縁あって地元の上宮に入って、今も成長を近くで見ることができている。自分の子どもをベンチで見られるのは本当に幸せです。それが一番。自分が選手でやっていた時以上に熱くなるし、何より楽しいんですよ」(義浩さん)
ちなみに、義浩さんの学生時代を知る方に話を聞くと「(義浩さんの学生時代は)試合中も声を出さないタイプだったのに、今は息子のベンチで信じられないくらい声を出している」という。息子の頑張りは、義浩さんに卓球の新しい楽しみ方を教えてくれたのかもしれない。
今後の目標は敗戦の悔しさを残しながら「来年の全日本ジュニアで絶対にベスト16に入りたい。それで、いろんな人に恩返ししたい」と語ってくれた石山。そんな悔しさも、義浩さんにとっては親子で共有した大切な時間になったはず。親子で進む卓球道、かけがえのない一瞬一瞬を積み重ねていってほしい。
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